イラスト

オマケSS


 

***
 俺の彼女はBL作家。
 言っておくがビューティフルラブじゃない、ボーイズラブだ。
 まあいいんだ。彼女がなにを書いてようが。彼女自身はやや天然でとても可愛いから。

 でも、これはない。

「お願い、彼とキスして欲しいの!」

 担当だとか言う背の高いイケメンが、彼女の懇願にちらと俺を見る。断れ、断れ。ちなみに俺は彼女に負けて既に折れたあとだ。だから断れ。

「はぁ…」

 担当は気の抜けた返答をすると、ふ、と口許を綻ばせて、いきなり俺の腰を掻き抱いた。

「まあ、先生の作品のためなら」
「?!」

 そして奪われる、俺の唇。

「んんんぅ!」

 当然、気持ち悪さに俺の目には涙が浮くが、しっかりと抱き込まれて逃げられない。彼女は嬉しそうに「写真撮るからそのままで!」とか言ってるし、もう頭ン中ぐちゃぐちゃ。
 何度も角度を変えてキスされたかと思ったら、舌まで入れられて、俺は耐え切れずにぎゅぅ、と相手の服を握った。
 腰や脚から力が抜ける。

 嫌だ、嫌だ、──嫌なのに。


 ちょっとだけ、気持ちいい、なんて。


 認めたくない羞恥に、俺はぎゅっと目を瞑った。

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