イラスト オマケSS *** 「海…ありがとな…」 電気を消して、布団とベッドに並んで横になって。 もうさすがに寝ただろうな、という時間を見計らって、遊糸は呟く。なんとなく、言いたくなった。 言える相手がいるというのが、なんだか誇らしくて。 「どーいたしまして」 「っ?!」 だが、まさか返事が来るとは思いもしなかった。 遊糸の頬が真っ赤になる。幸い、真っ暗だしベッドの上の海には見えないだろうが。 「お、お、起きてたのか…っ?」 「いやほら、お泊り楽しいじゃん。すぐ寝るのもったいなくてさー」 小学生のようなことを言って、海がくすくす笑う。 「ッ言わなきゃ良かったっ…」 「なーんでよ。ひとにお礼を言えるってのはいいことよー?」 憎まれ口にも、海は平然と答える。遊糸は海の、こういうところが、大好きだ。 「んで、お礼言われるってのも、気持ちいいもんですよ?」 じゃあおやすみ、と言って、寝返りを打ったらしい海は、今度こそ眠ったらしい。静かな寝息が聞こえてくる。 それを確かに確認して、遊糸は恐る恐る呟いた。 「海…あ、ありがとな…」 [*前] | [次#] /55 『頂き物』へ / >>TOP |