イラスト

オマケSS




***
「海…ありがとな…」

 電気を消して、布団とベッドに並んで横になって。
 もうさすがに寝ただろうな、という時間を見計らって、遊糸は呟く。なんとなく、言いたくなった。
 言える相手がいるというのが、なんだか誇らしくて。

「どーいたしまして」
「っ?!」

 だが、まさか返事が来るとは思いもしなかった。
 遊糸の頬が真っ赤になる。幸い、真っ暗だしベッドの上の海には見えないだろうが。

「お、お、起きてたのか…っ?」
「いやほら、お泊り楽しいじゃん。すぐ寝るのもったいなくてさー」

 小学生のようなことを言って、海がくすくす笑う。

「ッ言わなきゃ良かったっ…」
「なーんでよ。ひとにお礼を言えるってのはいいことよー?」

 憎まれ口にも、海は平然と答える。遊糸は海の、こういうところが、大好きだ。

「んで、お礼言われるってのも、気持ちいいもんですよ?」

 じゃあおやすみ、と言って、寝返りを打ったらしい海は、今度こそ眠ったらしい。静かな寝息が聞こえてくる。
 それを確かに確認して、遊糸は恐る恐る呟いた。

「海…あ、ありがとな…」


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