WHILE 03 「なんだあいつ。変なの。……大丈夫かな」 釈然としない晶の呟きに、隣でくすりと口元に拳を当てて、隼人が笑う。 「晶くんは優しいですね。何か……そう、悩み事でもあったのかもしれませんね。気に掛けてあげることは、僕は悪くないと思います」 「そっ、そっスよね! うん、またトライしてみます!」 隼人の笑顔があんまり綺麗で、晶は一気に舞い上がり、思わず隼人の手を握った。 「ぁ」と小さく声を漏らして、隼人の頬が赤くなる。晶は隼人の口元にあった右手を握ったので、隼人の唇に晶の手が触れたのだ。 「ぁ…っ」 晶もそれに気付いて、けれどなんだか惜しくて、しばらくそのまま硬直する。 少ししてから、恐る恐る、訊いてみた。 「…あの、先輩…。その、今日…急ぎ、ます…?」 晶の問いに、かあぁ、と更に隼人の顔が赤くなる。それから、崩れるようにして、綺麗に笑った。 「──大丈夫、です」 いつもどきどきした。 始める前が、1番どきどきした。 逐一訊かれるのを隼人が恥ずかしがっているのが可愛くて、判っているのに「脱がせてもいいですか」「キスしてもいいですか」と質問を重ねた。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |