WHILE 02 晶が先輩である隼人と付き合っていることは、遊糸、海を始め、最近仲良くなったばかりとは言え、親友として霙ももちろん知っている。 自分が生粋のゲイであることは、隠す必要もないことだ。晶の押しの強さに負けた隼人は、元は生粋のノンケだったが。 ──初めてヤッたときの先輩の可愛さと言ったら…。 思い出してにやけそうになる自分の脱線した思考を、晶は頭を振ることでなんとか思い留める。 「どうしたんだよ、霙? なんか顔色悪ぃし…お前こっちじゃないだろ? こっちは遊糸んち…あ、あいつんち行ってたの?」 「!」 びくん、とまた肩が震える。 晶は眉を寄せて、霙の顔を覗き込んだ。 「おい、大丈夫かぁ? なあ、でも遊糸って今、親父さんがうぜーからって海んちにいるはずだろ? どしたん?」 びくん。 「霙?」 様子がどうにもおかしい霙を訝って、晶はその肩に触れようと手を伸ばす。弾かれるように顔を上げた霙は、逃げるようにして「ごめん、急ぐんだ……!」頭を下げると、駆け去ってしまった。 ぽかんとして晶はただその背中を見送ってしまう。 晶の背に、そっと隼人の手が添えられる。信号の青が、点滅していた。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |