WHILE 01 ※晶×隼人 (Not 強姦) 「あれ」 道路の向こう側で信号待ちしている少年の姿を見て、晶は思わず声を出す。 隣に並ぶ隼人が、首を傾げる。 「どうかしました?」 真っ直ぐでさらさらな黒髪。ノンフレームの眼鏡の奥の、黒目勝ちな瞳。白い肌に、華奢な身体つき。男に対してこんな評価を下すのもおかしいかもしれないが、首を傾げるそのさますら『可憐』で可愛い。 『同じ』男だとは思えない。しかも、年上だなんて反則だ。 「晶くん?」 隼人の呼びかけに、うっかり見惚れてしまっていた晶は我に返った。 「あ、いや、友達がいるんで。あいつんち、路線違う気がしたんだけど…」 隼人に軽く許可を取って、信号が青に変わると晶はすぐに少年──霙に近寄った。 「霙っ」 「っ!」 晶の声に、大仰なほどびくんと霙の肩が跳ねる。その顔はいつものような気怠げなそれではなく、どこか蒼白で落ち着きがない。 きょろりと視線をさまよわせたあと、ようやく晶の目を見て、霙は「あ、きら…」と呟いた。それから、後ろに追いついてきた隼人を見て、 「ぁ…」 絶句する。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |