羊歯の檻 07 「後で、思いっきり殴っていいから…力、抜いててくれたら、いいから…」 「そんな、こと…」 「手、入れるな」 優しい言葉を、聞く訳にはいかなかった。霙が受けたことを思えば。これから受けることを思えば。 言葉を遮るようにして、ジャケットの下、開いた股間に手を潜らせると、霙はぎゅっと目を閉じた。 なるべくソファの上を這うようにして、霙には極力触れないようにする。が、探るためには触る以外にない。指先が肌に触れるたびに、ビクンと霙の脚が跳ねた。その様子に、遊糸はいたたまれなくなるが、耐え抜く。 ちゃら、と金属製の輪をやっとのことで見つけて、指を通した。 不安気にしている霙の手首を、きつく握る。 「…力、抜いて…」 「ぅ、ぅん…」 引く。 ぐぐぐっ… 「ぅ、は…あ、ぁ…っあ、ぁ…ッ」 「ごめん…っ、すぐ、済ませるから…ッ」 ぐぐ、ちゅぽっ、ぐ、ぐぐぐ…っちゅぽんっ、 「あひッ、ひ、ひぃ…っゃ、ゃだ、ゃだ、ゆーしっ…ゆーし、やだぁっ!」 「大丈夫、霙…ッ大丈夫だからっ…」 ばたばたと脚を暴れさせ始めた霙に慌てて、遊糸は夢中で宥める。霙の目には涙がたまっていて、遊糸も泣きたくなって視線を逃がした。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |