羊歯の檻

01


※遊糸×霙表現有(玩具/挿入なし)

 メールに添付された画像に、戦慄した。
 全身の血が、一度に引いた。
 自然と涙が浮いた。

――俺の、所為で。

 画像の被写体は、小高 霙。いつもの気怠そうな目は更に虚ろだが、間違うはずがない。M字に開かされた脚、その足首に繋がれた手首。身体には一糸もまとっておらず、腹部には白い液体が付着している。後ろに写っているのは、遊糸にも見覚えのあるソファだ。

 遊糸は閉じた携帯を握り締め、額をつける。

――俺が、逃げたから…ッ!

 だから霙が、犠牲になった。

「遊糸? どうした?」

 部屋に戻ってきた海が首を傾げる。遊糸は俯いたまま、呟くように言った。

「…バイト…行ってくる…」
「え? 今日はオフって言ってなかった? あ、電話来たのか?」
「…ん…」
「大丈夫か? なんか具合悪そうだけど。断れねぇの?」
「大丈夫…行かなきゃ…」

 顔を上げて、無理矢理微笑む。これ以上、海に迷惑は掛けられない。

 海は不安そうな顔をしたが、遊糸が荷物を置いていくことを知ると、少し安心したようだった。その顔に罪悪感を感じながらも、遊糸は久しぶりの自宅へと帰った。


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