憂鬱サニーデー

06



「ふぁ…っあぅ、ぅんッ、ぅ、んんぅっ! ん、ゃ、あ…っなんで…っ」

 自分は男で、乳首なんて普段そんな意識しないものだ。服で擦れることだって普通にあるだろう、だが大抵気付かない。それほど、鈍感なのではないのか。
 クリクリ、と尖らせた舌で転がされ、脚が痙攣のように震える。

「ゃああ…っやだ、やめろ…っやめろぉ…っ!」
 ちゅぱッ。
「ぁ…はぅ…はぁ…っ」
「気持ちイイだろう、遊糸? 眠ってる間に、少しお薬を塗ったからね。まぁこれからじっくり、お薬がなくても感じられるようにしてあげるよ」
「やめ…触るな…っん! んぁっ…やめ…っあぁ!」

 再び爪で転がされ、硬く勃った乳首に痺れるような感覚が走る。


 逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ。


 頭の中で警鐘が鳴る。
 流されるな。拒絶しろ。

 ぎちぎちと布をがむしゃらに引く。だが拘束が緩む気配はない。脚はベッドサイドに立ち膝をついて胸に吸い付く橘には届かない。

「っく…ぅ…っ! やめろ変態ッ! 俺はあんたの玩具じゃない!」

 叫んだ。

 ふと、橘が手を、口を止める。きょとんとした眼で、遊糸を見る。

「当たり前じゃないか」
「?!」
「君は私の息子だ。可愛い大切な遊糸。玩具は君に与えるものであって、君は玩具じゃない、当然だ」
「――っ!」

 もそ、と股間を撫でられて、声にならない悲鳴を上げる。
 乳首への刺激で、自分の制御を超えるほど感じさせられてしまったのだ。そこは既に緩く勃ち上がって、布を押し上げていた。

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