憂鬱サニーデー

04


 躯が跳ねるような感覚で、目が覚めた。
 にや、と至近距離で笑う、橘の顔。

「てめっ…、?!」

 ぎし、と布の軋む音がして、手が動かない。頭の上で組まされ、縛られて、それを更にベッドの枠に繋がれているらしい。思い切り引くと、ぎぎ、とスチール製のベッド柵も軋む音がした。

 見れば制服のシャツは肌蹴られ、乳首に爪を立てられ、カリカリと刺激されている。身をよじるが、それぐらいではどうにもならない。

 キスをするつもりか、近付いている顔から思い切り顔を背け、きつく目を瞑る。

「ぃや…っ! やめろ、変態っ…!」
「遊糸、君が悪いんだよ。焦るつもりはなかったのに、ゆっくり14年の空白を埋めようとしたのに、君が私を避けるから」
「当ッたり前だろっ! お前なんかッ! お前なんか父親じゃねぇっ!」

 視界が潤う。違う、これは縛られた手が痛いんだ。
 恐い。違う、ダメだ。意識をしっかり持て。
 幼い頃とは違う。抵抗する術は、あるはずだ。

 だが、ぐいと顔を引かれて、無理矢理唇を奪われる。懸命に口を閉じるが、巧みに動く舌にこじ開けられ、口内に侵入される。

「んんぅ…っん、ぁ、む、…っんぅ」

 ぞぞぞ、と腰に這い上がる何か。縛られた手首が痛い。脚がシーツを蹴る。
 粘着質な音を立てて、舌を吸い上げられる。感覚が麻痺するほど長いキスに、眩暈がした。

- 27 -
[*前] | [次#]

『カゲロウ』目次へ / 品書へ


 
 
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -