第二話:うるせェこの変態野郎







数十メートル空いていた距離を、向こうから少年がものすごいスピードで走ってきてつめてくる。段々その姿がはっきりとしてくるにつれて、名無しさんは首をかしげはじめた。


(あ…あれ?もしかしてコイツ……)


「あ…アクセラレータ!?」

「……あン?」


彼は振り上げていた腕をおろしてまじまじと名無しさんを見た。それからしばらく黙ったのち、


「……オマエ。アレか。あの研究所にいた…」

「そうそう!そうだよ!覚えててくれたんだ!?まぁ覚えててくれないと怒るけどな」

「……名前は忘れたがな」

「な…っなんだと!?4年も一緒にいたのに!」

「冗談だ、冗談。ムカつく野郎の名前ぐらい覚えてるっつゥの。名無しさんだろ」

「素直に喜べねぇ!」

「ふ、二人は知り合いだったの?ってミサカはミサカは話に割り込んでみたり」







「ふーん、じゃあ名無しさんと一方通行は幼少の頃の知り合いなんだねってミサカはミサカは今得た情報を整理してみたり」

「そうだよーまぁ幼少っていうか実際には小4〜中1ぐらいね。…相変わらず真っ白なことで。」

「うるせェこの変態野郎」

「なっ!なんで変態とか言われなきゃならないんだ!」

「打ち止めを誘拐しよォとしてたンだろォが。立派な変態野郎だなァ」

「君は誤解してる!逆です!変態野郎から打ち止めを救ったのに!っていうか君こそロリコンじゃん。聞いてないよ、幼女と同棲なんて…」

「同居だ馬鹿野郎」


ケラケラと名無しさんは笑った。本当にコイツは変わってない。昔あの研究所で出会ったときも、他のヤツらは皆俺に寄って来なかったのに、コイツだけはいつもまとわりついてきた。…まぁ、同じぐらいの力を持っていたからかもしれない。コイツも周りのヤツらからは浮いていたし。ただ、力のコントロールをせずにいつも全開だった俺と違って、コイツはいつもレベル2止まりを装っていたが。


「つかオマエなンで外に出られてンだァ?」

「逃げて来たから。一方通行を追いかけて来たんだよ?こんなに簡単に会えるとは思ってなかったけど」

「嘘くせェな。俺があそこを出てから何年経ったと思ってる。逃げ出せンならそンとき逃げただろォが」

「君が研究所を移された理由は覚えてる?怒り任せに研究所を破壊したからだよ。そのせいで警備は厳しくなって、出るに出られなかったの」

「あァそりゃァどォもスミマセンねェ」

「全くだよ!私がどれだけ寂しかったか…」
「そらまたどォいう意味だ」

「…は?」

「寂しいとかオマエが思うタマかよ」

「な…アクセラ、君はもしかして忘れたとか言うんじゃないだろうな」

「ナニをだ?俺もオマエもモルモットだったこと以外にナニかあったかよ」

「酷い!ファーストキスを奪った挙げ句に処女まで奪ったくせに!!おま、お前この野郎!!」

「そォだったかァ?つか、ガキの前でなんつゥ事言うンだオマエは」

「気にしないでどんどん続けてってミサカはミサカは二人の意外な関係にワクワクしながら先を促してみたり」

「一方通行のバカ!女に刺されて死んでしまえ!」

「…ンだよ、嫌だったンなら悪かったなァ」

「何言ってるの?私は今でもアクセラが好きだよ?」

「…はァ?」

「だから逃げ出して追いかけに来たんじゃない」

「……あァそォかよ」

「っつーことで私も同居させて下さい」

「………!?」

「わぁい、家族が増えたねってミサカはミサカは喜んでみたり!」「誰が家族だクソ野郎!」

「そんなこと言って、あなたも嬉しそうだねってミサカはミサカは言い当てたり」

「………うるせェ、早く帰ンぞ」




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