「オィ」
「んー…?」
「オィ起きろ」
「あー…あと10分…」
「10分あったらナニして遊ンでやろォか」
「はいっ!おはようございますいい天気ですね!」
「…ココは地下だ馬鹿野郎」
「あぁ…いきなり起きたら頭痛い…かつ寒いよアクセラ…反射といて人肌であたためてく………」
「寝ぼけてンのかなンなのか知らねェが、裸で擦り寄ってくるとはまた随分と魅惑的だなァオィ」
「なあああああああっ」
「もうお嫁にいけない…」「知らねェよ…とりあえず風呂だな風呂」
「なんで服着せてくれなかったの…」
「折角だから楽しンでた」
「この破廉恥野郎…」
「つか気絶してンじゃねェよ、焦ったンだよこっちは」
「心配してくれたってこ「オラ、風呂行け風呂」
「ちゃっちゃと入ンぞ、片方がシャワー使ってる間に片方は湯舟な」
「じゃんけん」
「あァ?」
「一緒に入るなんてお断りですうう!じゃんけんで入る順番決めましょう」
「いつ実験に呼ばれるかわかンねェンだぞ」
「恥ずかしいからいやだ」
「つべこべ言ってねェで、ほら、早く入れ」
「ああっ今なんかにやって笑った?意地悪い顔しなかった?」
「オィ早く用意しろ風呂ン中でいれンぞ」
「あ、あのなにを言いたいのかさっぱりで…」「早くしねェと本当に実行すンぞ」
「いい湯でした…」
「眠ィ…」
お風呂から出た二人は今朝とおなじようにベッドの上で並んで寝転んでいた。
「今日実験あったらヤダー」
「うるせェ」
手足をパタパタと動かしながら名無しさんはのんびりと言う。それを聞き流しながら、一方通行は自分の中の考えが変化していることに気が付いていた。
「(実験がない日なンてのは、退屈でたまンねェと思ってたのになァ…)」
少しでもこうして名無しさんと無駄口をたたく時間が延びるのを、喜んでいる自分がいる。一方通行はそんな自分に戸惑いつつも、これがきっと正常な人間というものなのだとも感じはじめていた。
「そういやさーもう4年くらい経ったんだねぇ」
「そンなに経ったか?」
「経ったよー…普通に暮らしてたら今頃常盤台生だよ…」
「なンでお嬢様学校に行ってることが確定事項なンだよ」
「理想を語っただけじゃない!あぁ天国のお父さん、お母さん、ごめんなさい。名無しさんは中1にして不良少年に…う…うぅ…」
「オマエ…」
「冗談だよ冗談!アクセラは不良少年なんてチンケなものじゃないよね」
「訂正すンのはそこだけかよ!」
「あはは」
何だかんだで気付けばずっと一方通行と一緒にいる。それは名無しさんにとって支えだった。
「なーんかまるでさぁ…」
「ア?今なンつった?」
「んー…なんもない」
「(…まるで彼氏と彼女みたいだね…なーんて、言えるわけないか……)」
未だに 普通の子供だったなら、という考えを捨て切れない自分に嫌気がさす。
「(言ったところでアクセラは……アクセラは、どう思ってるんだろう…私は…どう思ってるんだろう…)」
そんなことをぐるぐると考えていたときだった。一方通行に実験の声がかかったのは。