「……はあ」
ソファの前に正座をした私がため息をつくと、眠っていると思っていた一方通行がソファに寝転がったまま声をかけてきた。
「オィ。ナニため息なンかついてンだァ?なンかあったのか」
彼にしては珍しく、心配してくれているようだ。しかし、私が悩んでいることは、正直彼を怒らせるのではないかと私は言うのを躊躇った。
「…ん〜なんでもないよー」
それが逆に悪かったのだろう。
「あ゛?」
機嫌をすこぶる損ねてしまったようだ。
「オマエ―――」
ソファに俯せになると、一方通行は両腕を伸ばしソファのため前に座っていた私の首に腕を絡め、強く引き寄せた。
「!?」
一方通行の顔が、耳元に擦り寄せられる。
「い…一方通行…?」
「俺に隠し事なンざ…イイ度胸だなァ…」
「…ひぁっ」
そう囁くと、一方通行は私の耳たぶを甘噛した。突然の事に、顔が真っ赤になる。
「そうだなァ、いわゆるオシオキってのをヤってやろォかァ?」
そう言うなり一方通行は片手を彼女のパジャマの中に下から入れると、さわさわとお腹を触った。
「ややややや、やめ、あ…一方通行、ダメ…!」
「聞こえねェなァ」
楽しそうにそう言う一方通行。完全にからかわれていた。
「言う、ちゃんと言うから…!」
「ふン、はじめからそうしろっつゥの」
「あぅ…その、こないだ携帯壊れちゃったでしょ?それで…彼が、ね…えへ」
「あン?」
「こないだ一方通行がコンビニ行ってる時に来て…さ」
「………………」
「メールの返事が無いから、って、だから新しい携帯買わなきゃなって…でも携帯高いし買えないなって……でも早く買わないと」
「またアイツがくるってか」
「かな、って……」
「わかった、次アイツがきたら俺がシメる」
「へ」
「…コロス」
「こわ、こわいよ一方通行…!」
何だか波乱の予感。だから言いたくなかったのに、と彼女はひとり呟いたのだった。