「"歌ってみた"って、あの?」


不破が問う。当然だ、鉢屋は何を言っているんだ。皆がそう思ったはずだ。いつの間にやら久々知と竹谷も尾浜の隣に来ていた。


「そう。あの"歌ってみた"」

「てか何で?」


次は久々知が問うた。その隣で竹谷も頷いている。その質問に、さも当然かの様に鉢屋は答える。


「だって折角、防音室があるのにたまに楽器を弾くだけなんて勿体ないだろう」


理由はとても簡単なことだった。勿体ない、ならば使わなければならぬ。
鉢屋は鼻歌を歌いながら荷物を漁った。


「暇だし、皆もやらないか?」


「「「「やる!」」」」


鉢屋の誘いに全員が賛同した。彼らは凄く暇だったのだ。仕方がない。それに好奇心に敵うはずがなかった。


「とりあえず基本的な物は全部買ってきた訳だ。あとは、録音ソフトの使い方をマスターして編集のやり方調べないと」

「あ、俺、一回やったことあるよー」


尾浜が手を挙げた。それで全員の注目が彼に集まる。


「一回、先輩の手伝ったことあるんだよね」

「先輩って、食満先輩?」

「そういえば食満先輩は歌い手だったな」


彼らの一学年上の先輩もニコ厨が多い。食満先輩と言うのも人気の歌い手だった。


「じゃあ録音とか編集に問題ないみたいだし曲決めて練習しよう!」




さあ はじめましょう!


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