「暇だー」

「暇なのだ」

「暇ー」

「暇だねー、ねぇ三郎…あれ?」




「いない…?ま、いいか。三郎だし」


日曜日の昼下がり。大学がある訳でもなく、することがない四人はリビングに集まっていた。ダラダラと床に寝転んでいた所、鉢屋がいないことに気が付いた不破は、まあ何かする訳でもないので無かった事にしてまたダラダラと怠惰を貪っていた。






「ただいまー!」


大きな荷物を抱え、鉢屋が帰ってきた。


「おかえり、三郎。何処行ってたの?」

「おっ、なんだその荷物!」

「豆腐ー?」

「いや、豆腐はないでしょ」


鉢屋に気付いたメンバーはそれぞれ声を掛ける。心なしか、みんな楽しそうだ。


「ふふん…ついさっきまで秋葉に行っていたのだ!これは見てのお楽しみさ。お土産に豆腐買ってきたぞ!」

「とっ、豆腐ーーー!!!」

「うわっ…兵助が暴走した!」

「秋葉って、何買ったのさ。ついにギャルゲーにでも手ぇ出した?」

「ってか豆腐買ってきたの」


久々知は豆腐が入ったピンクのエコバッグに飛びついて、それを止めようとする竹谷。三郎を軽蔑した目で見る不破。そして久々知に、と豆腐を買ってきた鉢屋を呆れた目で見る尾浜。


「え、何。なんでそんな目で私を見る訳?」

「いや、うん。ごめん。」


とりあえず謝っとけ精神の尾浜が謝る。鉢屋を怒らせると後が面倒くさい。すぐ拗ねるから。この前もトイレに閉じこもって大変迷惑を掛けられたのだ。


「で、見れば分かるって何買ってきたの?」

「気になる?」

「まぁ…ね、雷蔵?」

「そうだね、勘ちゃん。ほら、さっさと言いなよ」


雷蔵と勘右衛門に迫られ、三郎はしょうがないなぁと一つため息を吐いてから口を開いた。(ちなみに兵助は彼ら三人からちょっと外れた所で八左衛門から豆腐を奪還しようと奮闘中である。)

「"歌ってみた"をやろうと思って」



それは突然のこと


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