このところ天気がぐずついていたが今日は久々に爽やかな青空が広がっている。自分の部屋のカーテンを開けて一つ伸びをした。親父や母さんも朝早くから出掛けてて静かだし。携帯を開くと数分前に作からメールがあった。なんでも藤内が割引券を貰ったから皆で映画でも行こうという誘いらしい。もちろん暇な俺は行くとメールを打つ。すぐに迎えに来るという返信が来たから早く着替えて準備しないと。
――ピンポーン
玄関のベルが鳴ってドアを開くと見慣れた五人の友人。早かったな、と言うと近くまで来ていたらしい。財布も携帯も持ったし忘れ物ないな。靴を履こうと屈むと後ろに少し引っ張られた。
「兄上、」
振り向くと妹の哉が俺の着ていたシャツを握っていた。心なしか寂しそうな顔をしてる。
「どうした?」
「何処か行くの?」
「まあ、作たちと映画」
「…そっか」
しょんぼりと俯いた哉に違和感を感じた。何、どうした。…そういえば今日は親父たちがいなかったな。そうなると家に居るのは俺とシロと哉だけになる。で、俺は遊びに行く、と。そっか。心細いのか。
「シロと二人だけじゃ、さみしい?」
「…」
「だよな。――よし!」
くしゃっと哉の頭を撫でて、玄関の外にいる作たちのところへ行く。たまには俺だって兄貴面したいし正直俺だけ遊びに行くのも罪悪感あるし。そう、自分に言い訳をして早く行こうぜと急かす作たちに行けないと伝える。
「え、なんで、急に」
「今日親父たち居なくてさー、哉が寂しいって言うからー」
「…ほんと三之助は妹好きだね」
「まぁな」
「でも、良いことだと思うよ。じゃあコレ来週行く?まだ期限あるし」
「まじ?それはありがたい!」
「なら来週ね。三之助居ないのも作が可哀相だし」
「なっ…別に私は!」
「はいはい。じゃあ、また学校で」
「ん、ありがとな」
五人が帰っていくのを見届けて家に入る。これから何をしよう。まず昼メシ食って、久々に晴れたし公園へ行ってみようか。キャッチボールして、サッカーして、二人が乗るブランコを押してやるのもいいかもしれない。
「哉、飯食おう。シロ呼んどいで」
「はい!」
うんうん、やっぱり俺の妹はかわいい。パタパタ走る姿に頬が緩む。おふくろのことだ、昼メシは用意してあるはずだからそれを温めよう。
ダイニングには案の定三人分のオムライスが用意されていた。それを哉のからレンジに突っ込んで温めボタンを押す。ちょうど二人もテーブルに着いたし、スプーンを食器棚から出して並べる。
「これ食ったら公園行こう」
「はい!兄上!」
「うん!お兄ちゃんと公園行くの久々!」
やっぱり二人ともかわいい。ぐりぐり頭を撫でて笑う。レンジからオムライスを取り出して俺もテーブルに着く。
「よし、じゃ」
「「「いただきます!」」」
かわいい妹と弟には弱いのです