忍術学園を卒業して、もう何年経っただろうか。あの頃の仲間とはまだ一度も会っていない。それは嬉しい事でもあり、寂しくも感じる。

俺はもう、先が永くない様だから。





身体が病に侵されていくのを感じながら目を閉じた。きっと死へのカウントダウンは既に始まっている。一秒毎に世界が狭くなって、いずれ失くなる。そんな気がした。

不治の病とやらに侵されて早幾年。この病は人に伝染すると聞いて俺は街を離れ山に篭った。出来るだけ人から離れ一人で生きた。山に生えた山菜や木の実を食べ、近くに流れる小川の水を飲んだ。

最近は身体を起こすのもやっとで、調子が良いときに食べ物や水を調達しに行く。その度に咳が出て血を吐くことになるが仕方ないんだろう。ここ幾日で血を吐く回数が増えたように思える。

(…皆はどうしているだろうか)

目を閉じても瞼に映るのは数年前に別れた仲間の姿。共に学び、力を高め合った彼らは今頃どうしているだろうか。まさか俺が病で臥せっているとは思ってもいないだろう。約束はどうしようか。こんな体になってしまった俺は、約束の時に皆に会うことが出来なさそうだ。














(…眠いな)

こんな夕方から眠くなるなんて珍しい。だが意識とは反対に瞼はどんどん重くなっていく。
目を閉じれば真っ暗だった。つい先程まで燃えるような夕日が出ていたのに。やはり何も見えない。


外で一羽の烏が哭いた。





それから、それから――…






涙が、止まらなくて

(ありがとう、最愛の仲間たちへ)






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