風の噂で私の旧友が亡くなったと聞いた。は組の二人組かと思いきや文次郎と小平太だと言うから、まさかとは思った。仕方ないだろう。殺しても死ななさそうな二人が私達より先に亡くなるなんて誰が予想しただろうか。
それから幾月が経った夜のことだ。私に仕えてる城の殿から一つ、命令が下った。近々戦を行うらしく、最前線に立って相手を翻弄しろ、とのことだ。断れるはずもなく二つ返事で了承した。これまでか。最前線で戦って生き残れるはずはない。今までの経験から予測出来ることだ。
私は約束を守れないようだな。
目を閉じて思いを馳せる。まだ長次や伊作、留三郎は生きているだろうか。出来ることなら会いたいと思う。六年も共にした仲間だったのだから。今はもう昔の話になってしまったけれど…。
どうか彼等は幸せに―――――――
思っていた通り戦の最前線はきつい。体は傷だらけで、なんとか動ける状態。兵の数はこちらが多く優勢である。忠誠を誓った殿への最後の恩、どうか勝利を。
私の後ろ側で火繩銃独特の音がした。その音を最期に、心臓付近に焼けるような痛みを感じて目を閉じた。
ああ、短くとも幸せな人生だったさ
(大切な仲間と出会えたからな)