文次郎が死んだ。

いや、私が殺したと言っても過言ではないだろう。私の手が苦無を握り、文次郎の首に突き立てたのだ。手は文次郎から噴き出した血液で濡れている。逃げてくれると思っていたのだ。私が手にかける前に。しかし文次郎は強く抵抗することも無く私の攻撃を受け止め死んだ。文次郎が言った「すまない」にはどのような意味が込められているのか私には解らない。ただわかっているのは、私はやってはいけない事をしてしまったということ。





どうしよう、私、私は――


私はかつての仲間に手を掛けた。







「あああぁぁああぁあぁぁあぁぁぁあ」




やだ、やだやだやだやだやだやだ……!!
約束を…、最後の約束を私の手で破ってしまった。

目の前には文次郎の動かなくなった躯。私の手には血で真っ赤に染まった苦無。



ごめん、文次郎。
ごめん、みんな。
ごめんなぁ…、約束を破って。













苦無を自分の胸を突き立てる。一瞬の痛みと溢れ出る赤い血液を感じた。指先からどんどんと感覚を失われ、冷たくなっていく。
これが死ぬことだ。




「また、逢う日まで…」


さよなら、




最期の私の声は、皆に届いただろうか

(大好きな人達の元に)






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