「先生、
 …どうして僕を気にかけてくれるの?」




あの頃、まだ小さかったお前は俯いて呟く様に言ったね。その問いに私はどう答えただろう?

一緒に暮らすようになって、私の家を"我が家"と呼んでくれたり、"ただいま"って帰って来てくれた。きり丸と本当の家族になれた気がして、嬉しかったんだ。ずっと一人で生きてきた私にも守るべき存在が出来た。笑いかけてくれる存在が出来た。それって凄く幸せな事だと思う。

お前に気にかけたのは決して同じ境遇だから、と言う同情だけでは無い。一人でも気丈に在ろうとする姿を支えたかった。確かにかつての私自身と重ねてた部分もあるけれど、私はお前に勇気を貰っていた。









「先生!俺、先生みたいな優しい忍者になるよ」


これから学園を巣立って行くきり丸は一年の頃と変わらない笑顔で言う。

その笑顔に私はどれだけ救われただろうか。


「今まで本当に、本当にお世話になりました!」

「もう一人で大丈夫だから…」

「ありがとうね、先生」

「どうかお元気で」


いくんだな、きり丸。
でもお前は独りじゃない。この六年間で何人もの仲間を手に入れてきた。もう一人で泣くことはないんだ。




「寂しくなったら、此処へおいで。此処はお前の家なんだから」

「無茶はするなよ」

「こちらこそありがとう」

「元気でな、きり丸」



「お前は私の自慢だ」


たった一人の私の息子よ。お前は私の生徒であり、家族であり、兄弟であり、友達であり、大切な人で在った。

そして、これからも




愛しているよ、私の×××







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