「…なに言ってるの、鬼道ちゃん」

「だから、お前が好きだと言っているんだ」

俺は不動に想いを伝えた。
返事が欲しかった訳ではない。
だが、いくらなんでも"何言ってるの"はないだろう。

「冗談?頭でもイかれてるんじゃない?」

「俺の頭は正常だ!」

「だって鬼道ちゃんがあたしの事好きなんてありえない」

どうして解ってもらえないんだろうか。
初めて会った時から、気になってはいた。
好きだと気づいたのは久遠監督から、不動の過去を聞いた時だ。
決して同情なんかではない。
あいつなりに母親の期待に応えようとしていた事、あの小さい背中にどれだけの重荷を背負って頑張っている事、すべてが愛しかった。

「お前を愛しているんだ」

そう言うと、不動は顔をしかめた。
いつも以上に眉間に皺を寄せる。

「な、愛してって誰が頼んだ?」

「…」

「あたしは愛されなくていい」

さみしい奴だと思った。
まだ中学生なのに、もうすでに諦めてる。

「さみしくないのか」

「…うるせぇ」

如何にも泣きそうな声で強がっている。

「本当は愛されたいんじゃないのか」

そう言うと、不動の目からは静かに涙が零れた。
唇を噛んで抑えているようだが、涙は止まらない。
顔は涙でぐちゃぐちゃになった。
思わず、不動を抱き寄せる。

「…あたしは、独りで」

「ああ」

「だ…から、わかんない…」

不動は人に甘えることができない人間で、甘え方も知らない。
独りで生きていくことに慣れてしまい、人との付き合いが上手くできない。

だから、俺が守ろうと思ったのだ。

「不動、もう一度言う」

俺の腕の中にいる不動の頭を撫でる。
小さい嗚咽が聞こえた。

「好きだ」

返事の代わりに不動が、俺の背中に腕をまわし、弱くだが抱きしめられた。
まだ成長しきっていない胸が俺に押し付けられる。

「…あたしも、鬼道ちゃんが









end


にょたイレっ!様に提出。





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