「片倉…俺さ、お前が好きなんだ」
大学のカフェテリアで運命的な出逢いを遂げて半年。あの出逢いからというもの、ただの同じ大学の同期生から会えば話す程度の知り合いとなり、いつの間にか片倉の隣というポジションを手に入れた俺は有りったけの勇気を振り絞って告白した。夢中になると周りを気にしなくなる質で今回もまた、やってしまっていた。まさかこんな学祭のステージの上に居るなんて。俺と片倉の二人だけが立つステージを何百もの人に見られてる。しかも変に緊張感があり物凄く静かだ。勘弁してくれ、心臓が壊れそう。所謂告白大会みたいな出し物に乗せられマイク片手に格好悪い台詞でとか、絶対片倉に嫌われた。はい、俺の恋終了です。お疲れ様でした。今夜はやけ酒だ。
「花笠、」
「…えっと、なんかゴメンな。恥ずかしい思いさせて。お前こういうの苦手だもんな。忘れてくれて構わないからさ」
「花笠!」
「いや、本当にゴメン。まさか友達に相談したらこんな風になるなんて思ってもみなくて。っと、で」
「…今の、その、告白は本当なのか」
その言葉で今日やっと片倉の目を見た。澄み切った瞳はいつものように美しい。そして初めて見た頬を赤らめた顔。震える唇。ああ、やっぱり俺は片倉が好きだなあ。
「本気に決まってるだろ」
「そう…だよな」
…これは玉砕フラグか。うわあ俺、立ち直れるかな。ああああやばいこれはやばい。もう少し自分に自信を持てるようになってから告白するんだった。誰だよ、人前で告白すれば流石に申し訳なくて断れないって言った奴。まじないわ。フラれるじゃん。いや、まだわかんねぇけど!ああ昨日の自分に戻りてぇよ、ドラえもん…。
「私も花笠が好きだ」
「ああ、やっぱり断られた!…って、え?今なんて?」
「も、もう言わねぇぞ!」
さっきまで静かだったはずのステージ下から聞こえる大歓声。司会者の祝福の言葉。これってもしかして。
「成立?」
あまりにも予想してなかった展開に頭がついて行かず、首を傾げる。予想はというとただ普通にフラれるパターンと、俺の粘り勝ちで仕方なく付き合ってくれるパターンだ。神よ、我を見捨てなかったか…!
「片倉!大好きだああああ!」
「ちょっやめろ!恥ずかしい!」
こうして俺、花笠将臣のバカップル生活が始まったのだ。
片想いが終わった日。
(そして、俺達が結ばれた幸せな日。)
まさかこの想いが叶うなんて夢にも思わなかった。そう、でも俺達は結ばれた。もしかしたら泣かせることもあるかもしれない。怒らせることもあるかもしれない。だけど、それ以上に共に笑えたら。何があっても彼女を守っていく。彼女に幸せになってもらう。俺の、これからの未来を賭けて。