風丸さんが異常。

苦労人鬼道視点。

―――――――






「ヒロトが可愛すぎて萌え禿げる件について」


練習が終わって更衣室で着替えていたところ突然、風丸が一言呟いた。冒頭のアレである。


「いや、うん?何だって?」

「今、聞こえちゃいけない言葉が聞こえた」

「…ヒロトが、何だ?」


上から円堂、俺、豪炎寺だ。とりあえず混乱して状況がよく分かっていない。風丸は今何を言った?


「いや、だからヒロトが可愛すぎる!」


真顔で俺たちに言い放つ風丸。心なしか頬が赤く染まっていた。本気だったらしい。


「風丸、お前…」

「キャラ崩壊甚だしいぞ」

「今ここに他のメンバーが居なくて良かった」


他のメンバーはまだシャワー室にいる頃だろう。通常は真面目で頼りになる男がこんな事を言っていたらショックだろう。現に今、俺たちがショックを受けているんだから。


「お前たちもそう思わないか?あの綺麗な顔を桃色に染めながら俺の名前を呼び、走って来るんだぞ!?『風丸くぅん』だぞ!?可愛すぎるだろう!それにあの美脚!細すぎず太すぎず、筋肉もしなやかについたあの脚!あぁ、踏まれたい!あとな、あのry」

「うん。分かったから、分かったからな。少し落ち着け。いつものお前は何処行った」

「分かった、って何が分かったっていうんだ!ヒロトの魅力はこんな数分で分かる筈がない!!」

「あ、あの…風丸さん?」

「襲いたい、いや、犯したい…。ふ、ふふふ…ヒロトの喘ぐ姿はこれ以上なく可愛いんだろうな。ヒロトヒロトヒロトヒry」

「円堂ー、救急車呼べ。こいつ、病気だ」


風丸は頭の病気に罹ってしまったようだ。しかも重症だ。普段まともな奴ほど、暴走すると止まらないと言うのは本当だったようだ。今実証された。






ガチャっとドアが開いた音がして、ヒロトと吹雪が入って来た。噂をすれば何とやら、だ。


「ふぅ、サッパリしたー」

「やっぱり練習のあとのシャワーは気持ちいいねー」

「あ、吹雪くんシャンプー変えた?いい匂いがする」

「わかるー?新商品なんだよねー」


お前ら女子か。普通の男子はシャンプーの話なんてしない。いや、するかも知れないが、そんな嬉しそうに話す話題でもないだろう。あ、風丸が反応した。


「ヒロト!」

「あ、風丸くん。どうしたの?」


急に立ち上がったかと思えば、そのままヒロトに抱き着いた。ちょ、まっ…え?ヒロトの首もとの匂いを嗅いでる風丸怖い…!


「いい匂い…。風呂揚がりたてのヒロトは何時にも増して色っぽいな」

「ん?ありがとう」

「このあと、俺の部屋に来ないか…?」

「うん、じゃあ行こうかな」


待て、ヒロト。お前、そんな羊の皮を被った狼の部屋に無防備に行くな!処女奪われるぞ!あぁ、風丸もいい笑顔だ…。











「風丸も昔はまともだったんだけどなあ」

「まるで狼のようだったな」

「ヒロトくん大丈夫かなー?」




その翌日、ヒロトは練習を休み、風丸はやけにスッキリとした表情で練習に参加していた。…何が起きたかは、貴女の想像にお任せしましょう。









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