「桜が美しいですねえ」
隆「ええ、とても。そして気候もいい。風もなく、最高の読書日和です」
半「隆景殿はそればっかりだね。昼寝日和の間違いでしょー。ふああ、最高…」
官「卿らはいつでもそうであろう。それ以前に何故、私の庵にさも当たり前かのように寛いでいるのだ。半兵衛と次の戦の備えをしていたのだが」
「いや、私は武将列伝を完成させるべく各地を転々としておりまして」
官「はて、二日程前にこの地を去ったのではなかったか。私の指揮の元…いや、指揮など要らぬかのように敵陣に突入し活躍されていたと記憶しているが」
「迷い込みましたすみませんでした」
隆「私はそんな彼女を見守るよう父上から命じられ、此処に辿り着きました」
官「過保護にも程がある」
半「まあいいじゃないの。まったり隠居衆此処に集いたり!ってね」
「あれ、私も入ってます?」
隆「私はすぐにでも隠居したいくらいです。父上が書き溜めた日記が何十冊あるのですが、ゆっくり読みたいですね」
半「俺も俺もー。隠居したら一日昼寝したい放題…ふあああああ」
「わたしもこんな戦に巻き込まれてばかりの日々から脱して日向ぼっこしてお茶飲み放題」
「隠居後の主張は他所でやれ」
隆「官兵衛殿は、何か無いのですか。隠居後にやりたいことなどは」
官「目先の望み以外、今は考えようとも思わんな」
半「ほら官兵衛殿はまたそうやって。つまらないな〜隠居後の官兵衛殿がやること無くて苔とか茸生やしてたらやだなあ」
「ぶはっ」
隆「失礼ですよ。笑うなら隠れて小さく」
官「必要無い。嫌でも耳に入る」
「誠に申し訳御座いませんでしたぁ!官兵衛さんが隠居したら必ず苔を払って茸取りに行きます」
隆「弁明になっていませんよ」
半「隆景殿庇う気無いでしょ。遊んでるし。もういいや寝よーっと」
隆「可愛いものでつい。さて、私も続きを」
「あ、私も日向ぼっこ」
官「全く、卿らは…」
各々に呆れる官兵衛だが、溜息を吐きつつも手にしていた軍略書を閉じるのだった。
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官兵衛・半兵衛の隆景の呼び方が定まっておりません。すみません。わかり次第修正します。
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