隆景と衆道 番外編
「本当に名前はからかい甲斐があります。もう少しこの話をひきずりましょうか」
「失礼します隆景さん。元就さんから頼まれごとが…」
「名前、本当にちょうど良い所に来ました」
「はい?なんでしょう」
「…名前っ…」
切羽詰まった目で名前を見て擦り寄る。
「ど、どうされました急に…まさか字が足りませんか?すぐに元就さんの書を」
「物足りないのです、熱が」
「?」
「義隆様の熱が忘れられず、身体が疼くのです」
「(おっとおおおこれはもしや、前は流されてしまったけど本当にアッー!な関係だったと判明してしまったやつか!)隆景さん落ち着いて。字、では紛れそうに無いし、手始めに元就さんをば相手に…!」
「全力でお断りします」
「あれいつもの隆景さんだ」
「貴女で紛れさせて下さい」
隆景は名前を軽く押して倒し、上体のみ覆いかぶさって両腕を押さえつけた。名前の首に隆景の息がかかり、こそばゆくて恥ずかしくてどうすればいいかわからない。
「た、かかげさん、私は女だから無理…」
「そんな事はありません、穴を芋で広げて主を待つ必要もない。貴女を下さい」
隆景は名前に唇を寄せるが、寸前で名前の視線とかち合い、こう言われるのだった。
「私なんかで、良いのですか…?」
名前は目を潤ませ顔を赤くし、不純な気などこれっぽっちも持たず隆景に必要とされていること自体に喜んでいると隆景は理解した。
隆景は逆にしてやられた、と思った。どうしようもなく自分に尽くしてくれる名前に。
「…貴女でなければいけないのです」
止まった唇は、落とされた。
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