※元親流浪演武ネタバレ注意
「とう!」
「ひいいいなんか海から出てきたああああ!!」
「よく見ろ、俺だ」
「元親?!何で海から…?てか、とう!って」
「掛け声と共に岸に上がる、これぞ反骨の魂の叫び」
「答えになってません」
「京まで用だてがあった。泳いで土佐まで戻って来たまでよ」
「なん、だと…?」
「そこに岩辺を歩くお前を見かけたので、潜水し後をつけ頃合いを図り仕掛けたのだ」
「それ犯罪ですよね?いつから居たか知りませんが息良く続きましたね。」
「これくらい容易い」
「というか私が突っ込みたいのは何で髪型は潜水しててもそのままなのかなのですが」
「そうだ、お前に土産がある。」
「聞いちゃいねえ」
「彼方で流行っているという菓子だ」
「滅茶苦茶包みから水滴ってるー?!そこは濡れるのですね…何かもうどうでもいいです。お土産は気持ちだけいただいておきます」
「それは残念だ。では…お前に何をやろうか」
「何もいらないので、帰りましょう。風を引きますよ」
「そうだ、あれがいい」
「あれってなん…!!!」
ざっぱーん
「(き、急に海の中に引きずりこむなんて!)んん!」
更に海中でも腕を引っ張られたと思うと、掴まれたとは反対の肩を抱かれ唇に水とは違う柔らかく温かいものが触れる感覚があった。閉じていた目をゆっくりあけると、目の前には元親の顔。それが元親の唇だと気付く時には、元親が唇の間に舌を差し込んでできた隙間から空気を送り込んできた。舌の動きで不覚にも気持ちがいいやら苦しいやらでもがく。
「んっ…ふ…」
流石にもう限界、と元親の厚い胸板を叩くと、唇が離れすぐ様陸まで誘導してくれた。
「っげほ、げほ!は、何を…」
「潜水が如何なるものか感じてもらいたかったのだ。それに、俺の事も、だ」
「はっ…視界いっぱいに元親さんしか映りませんでしたよっ…!」
「ふ、上等!」
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