ふわり ふわり。穏やかに戦ぐ草木と同様に 右へ左へと落ち着きなく揺れる風船。兄上に頂いたチケットで以前 奥村燐と遊んだ メッフィーランドという名の遊園地に暇を殺しに いえ間違えました 潰しにきたのです。…やはり日本語は難しいですね、違いがわかりません。なんでも 兄上はとてもお忙しいらしくボクの相手はしていられないそうです。レールを勢いよく下る乗り物もゆっくり回る大きな円も 一人で遊ぶのには飽きてしまいました。やはりベヒモスを連れて来るのが最善でした。次からは一緒に遊ぶことにしましょう。
赤い風船を片手に 甘い飴を口の中で転がしながら門をくぐり ぴかぴか光る喧騒にサヨウナラをして そのまま特に何も考えずに歩いているといつの間にか公園に来ていた。人の姿のないそれはとても静かで どこか不思議な雰囲気だ。
ふわり ふわり。公園の中にある滑り台の一番高いところに座って 風船を捕まえていた紐を離してやると それは待っていましたと言わんばかりに高く高く昇って行く。しばらく見上げていると その風船はぱんっと弾けるように割れてしまった。ボクはそれをただ眺めて思う。
とてもひ弱で果敢無く壊れやすいそれは まるで人間の様です。お家に帰ったら 兄上に尋ねてみましょう。手を下したのは 一体誰だったのかと。