晴れて高校生になった。
両親の強い奨めで入学した正十字学園。名前が異常に格好いい。というか俺ん家そんな金持ちだったっけ?…まあどうでもいい。取り敢えず入学式の会場に向かう。




入学式とかめんど、とか思ってた数分前の俺、ちょっとビンタさせてくれ。



「なん…だとっ」

小声で誰にも聞こえないよう配慮しながら心の声を漏らした。否、漏れてしまった。なんだあれは。

壇上に立っているこの学園の理事長。ちょっと待て理事長って普通あれじゃないのか。バーコード頭で長々しい話をする老人、いや偉い人じゃないのか?俺の辞書間違ってるの?大パニックである。
だけど仕方ないと思うんだ許してくれ。あんな長身ドピンクファンシーな理事長、想像もしないだろ。信じないぞ、俺はあんなの信じない!とか一瞬思ったが驚きの事実を受け入れることにした。目指せ脱中二病。

衝撃の現実を受け入れて既にぐったりした俺を癒してくれたのがチョロ助達だった。ああ…可愛いな、お前等。
はじめの頃は虫と間違ったりいつもいるから鬱陶しいと思うこともあったが約一年も一緒にいたのだ。飯食うときも寝るときも風呂のときも一緒だ、愛着が湧くのも仕方ない。

にやけそうになる口元をきゅっと引き締めて再び壇上に意識を向ける。理事長の話は終わっていた。何も聞いてないですごめんなさい。理事長の代わりに壇上に居たのは俺と同じ新入生、ひそひそ話に耳を傾けて得た情報は彼が新入生代表(つまり成績最優秀者)であり奥村雪男という名前であるということ。
ふむふむ、奥村君ね、覚えたぞ。眼鏡が俺との共通点だ。いかにも頭の良さそうな、加えてイケてるメンズである彼は、きっと俺には一生関わりのない人だ。
俺はそっと目を閉じた。



きっと今までと変わらないだろう。でもいいんだ、俺にはチョロ助がいるし。ひとりぼっちじゃない。


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