こんなに身体が震えたのは初めてだ。街でチョロ助にすげぇ懐かれてるそりゃ怖い少年を見つけた時以上にガクガクだ。特に膝が酷い。



かれこれ30分以上理事長室の扉の前で立ちすくんでいた。三回ほど通り掛かった名もしらぬ教師に大丈夫かと尋ねられる始末だ。
大丈夫か、だと?ざけんな、全然大丈夫じゃないし舐めないでもらいたい。くそ、涙で視界が歪む。

「…帰りたい」

そもそも、なんで俺が呼び出されなきゃいけないんだよ。おかしい、きっとこれは悪い夢なんだそうか納得。俺は今この瞬間も机に突っ伏して寝ているに違いない。寝心地が悪いから悪夢をみているんだ。

「ならば怖くない」

行くぞチョロ助、と声をかけてから逃げるためにドアに背中を向ける。敵前逃亡?違う、戦略的撤退だ。

「ちょっと、何処にいくんですか?」

背中にドアが当たって、俺の耳にラスボスの声が通る。ちょっと待て、夢だよね?まじこれ悪夢なんだけど、ははほんと勘弁。

何も聞いてないふりをして逃げ…撤退のための一歩を踏み出した。

「こらこら☆お待ちなさい」

低音ボイスが聞こえたと同時に襟首を捕まれ引きずられる。向かうは最終決戦のステージ、理事長室だ。

さよなら父さん、母さん。短い人生でした。



(逃げるを選択したのに逃げられないなんて…ポ●モンかよ)



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -