ある朝起きたら、俺達はとんでもないことになっていた。
「グラン、グラン!!」
「どうしたのバー―」
グランは俺の姿を見るなり目を点にし、言葉が出ない状態だ。まぁこれは当たり前なのかもしれない。
俺の頭にはフサフサした耳らしきものが生えていて、しかもお尻からは無意識に動く尻尾が生えていたのだ。
いわゆる俺は『犬』になっていた。
「それ、何?コスプレ?」
「馬鹿、違ぇわ。朝起きたらこーなってたんだよ」
そんな口論を続けていると、ガゼルが降りてきた。
朝起きてガゼルとは対面してお互いの姿に息を飲んだので、びっくりしたのはグランだけだった。
ガゼルの頭には三角のふわふわした耳、お尻にはしゅるっとした尻尾。
ガゼルは『猫』になったのだ。
「え、ちょっとガゼル可愛い!」
「…おはよう、離せ」
不機嫌そうにグランから離れ、俺の元へ擦り寄ってくるガゼル。俺の記憶だと、犬と猫はすげぇ仲悪いはずなんだけど…
ただ、好きな奴に擦り寄られて悪い気はしない。
「…ガゼル」
「バーン、私は喉が渇いた…ミルク」
甘え声で腕にほお擦りをしながら、偉そうに命令してくる。そんな姿でも、許せる俺はすごく甘いと思う。
「…ったく、仕方ねぇな…でもミルクよりいいもんやる」
「なんだ?」
チュ
俺はガゼルの唇にキスを落とした。そして、手で耳に触れてみる。綿菓子のようにふわふわしていて、気持ちよかった。
「〜〜っ!?この!」
ガゼルのグーパンチが見事俺の頬に炸裂した。
やはり『猫』なだけあって気まぐれだ。さっきまでは可愛く擦り寄っていたのに。
「恥ずかしいことをするな!馬鹿!」
「ガゼル、俺が相手してあげるからおいで!」
グランが手を広げると、それに釣られてガゼルはグランの腕にすっぽり収まった。そして先程俺にしたように、グランほお擦りをしている。
「可愛いなぁガゼルっ」
「ん……」
二人のイチャイチャがムカついてきて、俺はその場から退室した。
けど今日のガゼルは本当に可愛かった…
次の日からはもうすっかり俺達は元に戻っていてガゼルはまた一人で行動するようになってしまった。
でも一体何故あんなことが起きたのか…
密かに俺はもう一度あの朝のようなことになって欲しいと思っていた。
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6000hitおめでとうございます(・ε・。)!
「犬と猫」というリクを快く受けてくだったので、持ち帰ってきました!
うへへ┗(^o^ )┓〓
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この度はありがとうございました(*´∇`*)★