南雲は快く承諾してくれた。
田んぼしかない路地を歩いていく。
ビルはなく、緑一面の世界を遠くまで見渡せる。
南雲も自転車を降り、私に歩幅を合わせてくれていた。

「凉野は大学どこいくんだ?」

「県内に残ろうと思って。」

「そっか。俺は外の大学を志望しているんだ。受かるかどうか、分からないけどな。」

俺、バカだから。と冗談めいて言う。
県外の大学を志願している知っていた。
その事は言わないけれど。
それを話すことはあなたに興味があります。と白状しているのと同じことだから。
他愛のない話をして、私達は何もない帰り道を歩いていった。



南雲は結局家まで送ってくれた。
一緒にいる時間は楽しく、別れることが寂しい感じられた。

私が玄関に入ると、南雲は自転車にまたがった。



「…なあ、
俺さ、やっぱ凉野と離れるの寂しいわ。

今までなかなか話しかけれなかったけど、今日一緒に帰って思った。
楽しかったよ。」

南雲が何を思ってそう言ったかは分からない。
彼の感情は読めない。
普通に友達に接するように、思いを伝えているのかもしれない。
だからずっと迂闊な事は言えないと、勇気を持てずにいた。

「…私も、寂しいよ。
南雲といると安心するし。



……南雲のこと、好きだしね。」

南雲は私をじっと見つめていた。
"好き"という言葉をどうとったのだろうか。
言ってしまったものは仕方ないと、腹をくくる。



「俺、猫みたいな凉野の髪、好きだよ。」

ふと、そう呟く。
髪?と聞き返そうとすると、引き寄せられ、抱きしめられた。


彼の体に密着している時間は長く感じられた。
心臓の音が聞こえるかと思うほどに。
私はされるがまま彼を受け止めた。




南雲が帰った後、私は家の中に駆け込み、顔を真っ赤にして座り込んだ。




(明日からどうしよう…)





偶然がくれた恋だった





実体験と妄想が入り混じった感じ
風介キャラ崩壊してしまいました
もしかしたらゴミ箱行きになるかも。

2010/11/04



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テーマ「人外ファンタジー」
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