後処理

「ほんっとーにすまなかった。ごめんなさい。この通り」
「はあ……」

ベッドに横たわる陸遜の前で、土下座しながら凌統が謝罪の言葉を並べる。
枕元には未開封のコンドーム。
陸遜はそれをチラリと見た後、気だるそうに瞼を閉じた。

「あなたって本当に……サイッテーですね……」

陸遜の着用している制服は散々に乱されていて、首もとに散らばる生々しい情交の跡と下半身を汚す欲望の証。そして広がる乙女の赤。
体液の持つ独特の生臭さに包まれた部屋で二人分の酸素が減っていく。

「生理日だからって中出ししますか?普通……」
「だから、本当にすまなかったって言ってるっつの…陸遜ちゃんだって抵抗しなかったし」
「私は嫌って言いましたよ……」

そう言いながら陸遜はぐしゃぐしゃのシーツに包まる。
少し動く度に掻き出せなかった精液がネトついて気持ちが悪い。
おまけに経血も外に溢れて最悪だ。この男とヤるべきではなかった。
陸遜は今更遅すぎる後悔と不快感を抱えながら、振動する携帯に手を伸ばす。が、届かない。
それ、取ってください、とまたしても気だるそうな声で言うと、凌統は土下座体勢から立ち上がり、陸遜の手に携帯を握らせる。
陸遜は携帯の画面を開くとすぐにまた閉じ、ため息をつく。

「……これからバイトあるんでシャワーを浴びたいんですが」
「あ、ああ」
「ああ、じゃないです。誰かのせいで腰が痛くて立てません」

だから、連れていってください、と陸遜は腕を伸ばす。
凌統は陸遜からシーツを剥がし、そのまま一糸纏わぬ身体を抱きかかえて運ぶ。
陸遜へ目をやると、首もとに散らばるキスマーク、陰部から垂れ落ちる白と赤が先程の行為を嫌と言うほどに知らしめる。
再び昂りそうになる己を戒めながらシャワールームへと急いだ。

「服、ここに置いておくから」
「……私がシャワー浴びてる時に帰ったら通報しますからね」
「わかってるっつの」

そう言って陸遜はシャワールームの扉を閉める。
凌統はゆっくりとベッドへ足を進めて腰を下ろす。
未成年と援交、しかも中に出してしまった。後悔と自責の念で頭を抱えた。
万が一他人にバレたら確実に牢屋行きだ。世間からは蔑まれ、二度と社会復帰はできなくなる。なんてことをしてしまったんだ俺は…。
枕元からタバコの箱とライターを手にとる。箱の中にはタバコが1本。
凌統は残った1本を口に咥えて火をつけ、空になった箱を握り潰してゴミ箱に投げた。

「うわっタバコですか」

いつの間に上がってきたのだろう。制服姿の陸遜が全く不快感を隠そうとしない声を投げ掛ける。
タバコ嫌いなの?と聞くと、当然のように嫌いですの返事。
渋々タバコを咥えるのをやめて灰皿に捨てると陸遜は凌統の横に座り、手を出す。

「お金」
「5万だっけ」
「中にだしたんですから10万払って下さい。妊娠してたら、中絶費用も」

まじすか…と非難の声を上げながら財布を取り出して札束を渡す。
ありがとうございますと全く感謝の欠片も感じられないような声で言われると情事後特有の虚しさが肥大した。
部屋を出る準備を進める陸遜の背中に声をかける。

「なあ、もしよかったら俺と付き合わない?」
「それ本気で言ってるんですか?」

驚きと呆れの色を交えた声が飛んでくる。
向けられた陸遜の顔は信じられない、とでも言いたげだ。

「いやあ、ヤってる時の陸遜ちゃんホント可愛くってさ。惚れちゃったっつか。勿論今も可愛いけど」
「呆れて物も言えませんね…」

そそくさと部屋を出ようとする陸遜に待ったの声をかけて近寄る。
なんですか、の声に凌統は紙を握らせた。

「これ、俺のメアドと番号」
「付き合いませんよ?」
「気が変わるかもしれないっての」

はあ…と渋々受け取りながら陸遜はドアを開ける。
出ていく背中が控えめに声をあげる。

「妊娠してたら責任…取って下さいね」
「妊娠してなくても取るっての」
「本当にあなたって、 」

最低な人ですね、と恥じらいを含んだ声が投げられる。その声が凌統の耳に入ると同時にドアが閉められた。

//最低な凌統と援交するJK陸遜

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