わたしの大好きな人の瞳は宝石のようにキラキラと輝いていてとても綺麗だった。それに彼自身の太陽のように明るく眩しい性格や風貌も相成って彼の存在が一種の芸術品にすら思える。到底届かぬ人だと思っていた。十代達に囲まれて毎日をキラキラと輝きながら過ごす彼はごく普通の私とはどう考えても合う筈など無い、と考えていたのだがなんという事か。ある日彼から話し掛けて来てくれたのだ(嬉しくて死んでしまうかと思った)


それから私と彼はよく話すようになった。食事も一緒にするようになったし授業も彼に無理やり連れられてサボる日だってあった。たまに驚かせる行動をする彼ではあったが私の中で日に日に大きくなっていくのを感じた。これが恋だっていうことも直ぐに理解出来た、だけど決して行動には移そうだなんて考えはなかったのだ。私は臆病者だから、告白なんて出来る筈もない。私はただ、彼を一番近くで見れれば良かったから。


ある日、彼は変わった。
今までならスキンシップなんて彼が頭を撫でてくれるくらいだったのに最近はひっきりなしに愛の言葉を囁いてきたり頬に手を添えてきたり手の甲に口付けを落としたりと端から見れば恋人のするような行動を起こすようになっていた。そして何より驚いたのが彼の宝石のように輝いていた瞳が光を失っていた事だ。よく見てみると色もまるで別人のようで、私は大好きな彼はどこかに行ってしまったのだと理解した。私は絶望した。


私の愛した彼は何処へ行ってしまったのでしょうか。私を動けないように拘束し目の前で銀色に鈍く光るフォークをちらつかせているのは『ヨハン・アンデルセン』ではなく『別の誰か』だと、信じたいです。目以外は彼にそっくりだから騙されてしまいそうでは有りますが彼ではないのです。彼はこんな濁った目はしていません。彼の形をした別の誰かは私の右目にゆっくりとフォークを突き立、て、てあ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!




「ボクはね、キミを愛しているよ」


「キミの瞳は前から美しいと思っていたんだ」


「いただきます」




100224/ヘルヨハン






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