「ふ、ぁっ…やだ、やめて…」

「名前…愛してる」

「!……わ、わたしは…あぁっ」

「…知っている」


カイザーはずんずんと一定のリズムを刻むかのようにわたしの中を激しく突いてくる。こんなのあんまりだ、無理やりだなんて酷い。生理的な涙がはらはらと零れ落ちてシーツを濡らす。カイザーはそれに気付いたのかわたしの頬をぺろりと舐めた。ああ、…気持ち悪い。好きでもない人間に犯され舐められ愛を囁かれるのはこんなに気持ち悪いものなのか。突かれるたびに嬌声をあげるわたしもわたしだが女の身体は無駄に快楽には素直なので抗えない。どうせ犯されるのなら大好きな吹雪さんが良かった。なのに、どうしてわたしは吹雪さんの親友であるカイザーに犯されているんだろう。不愉快だ、不愉快極まりない。わたしの身体を抱き上げて腰を打ちつけてくるこの人は皇帝なんかじゃない、ただの獣だ。ああ、本当に気持ち悪い。


「やめ、…うぁっ、カイ…ザー…っ」


「…名前」

「ん、んっ……え…?」

「…せめて、今だけでいい。カイザーじゃなくて、亮と呼んでくれないか」

「な、にそ…れっ…ふぁ、なんで…」


いきなり深く突かれる。一気に快楽が押し寄せてきて頭が一瞬真っ白になった。…それにしても名前で呼んでくれと言ったカイザーの表情は今まで見たことのない、どこか切なげな表情で今にもその深海のような青から涙が零れ落ちてきそうだ。なんで、カイザーが、そんな表情をするんだ。どうして


「…いまだけ、今だけでいい」

「……あぁ、っ」

「名前を俺だけのものにさせてくれないか…」

「りょ…う……?」

「っ……!」


きつく、抱き締められる。繋がったままの結合部からはカイザー自身の熱がばくばくと伝わってくる。そしてわたしを抱き締めている皇帝と呼ばれたおとこは静かに涙を流した。


「……名前…っ」

「っ………」


なんで、あなたが泣くんだ。泣きたいのはこっちの筈なのに、何も浮かばない。言葉が出て来ない。わたしを抱き締めて泣く皇帝と呼ばれたおとこは、こんなにも、丸藤亮とは脆いおとこだったのか。…気が付いたらわたしも亮を抱き締めていた。こんなおとこ大嫌いで気持ち悪いだけなのに、今だけはこの人の物になってやろう、そう思ってた涙でぐしゃぐしゃになった亮の顔をこっちに向けてキスをしてやった。わたしはあなたなんか愛してあげない、ざまあみろ。亮は嬉しそうに微笑むとわたしにキスをした。少しだけ幸せな気持ちになったのは気のせいだろう。



100208/丸藤亮 




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