変わらないモーニングコール


転生して二度目の中学三年生なう。

最近流行のTwitterみたいにやってみた、心の中で。特に理由もないけど。


殺される前私は高校二年生だったんだけど、この学校の学習内容は真面目に公立の学校の授業を受けた私にとってもちょっと難しい。なぜならここは『立海大附属中学校』、テニスの王子様で神の子とか皇帝とか達人がいる王者立海。

私がテニプリのことに詳しいのは桐哉がテニプリの漫画にハマってテニス部に入りましたから必然的に私も一緒にハマったんです。あの頃は若かったよねー。

脳内で淋しく実況解説していると、後ろから何やら私のことを呼ぶ声が。

「渚ーー!」

ドンッという効果音がつきそうな程の勢いで抱き着いてきた、基タックルをかましてきた赤髪が特徴の彼は幼馴染みのブン太、もとい丸井ブン太。頼んでもないのに強制的にブン太の幼馴染みになりました。しかもそれが結構厄介なのだ。

「おはよう、丸井君。」

「おう!おはよう、で何で名字なんだよ!?」

「だってここは登下校に使われる道路だよ。」

ブン太が怒ったのは、名前で呼んであげないから。いくら幼馴染みと言えど、嫉妬で攻撃してくるミーハーな子達がいるから、予防線で人がいるところでは名字で呼ぶように三時間延々と頼んだのだ。その原因はブン太が厄介な理由に起因している。

「…やっぱり渚は何か危険な目にあってるんだろぃ?なあなあなあ、相談してくれたら今すぐその原因たなる奴等片っ端から殺してやるから俺を頼ってくれよぃ!?」

「そんなことしたら、ブン太が警察に捕まって下手すると二度と会えなくなるからやめて。大丈夫、危険な目になんかあってないから心配しないで?」

「わかってる、わかってるんだ。渚は嫌われるような奴じゃないのはわかるんだけどやっぱり馬鹿な奴はいるから心配なんだよぃ…。」

「心配してくれるブン太も好きだけどやっぱり楽しそうにテニスしているブン太が好きなんだよ。だからそんな危ないことしないで。ブン太がテニスをしている姿、好きだよ?」

「そっか。なら俺の天才的でカッコいい姿渚に見せてやるよぃ!」

「ありがとう、ブン太。」

その原因、ブン太は極度のヤンデレだった。私に怪我させようことならまさしくそいつを殺しかねない勢いで。事実その姿をこの目で見たのだから。

最初はこの状態には手こずったけど、今なら慣れたものだ。よっぽどのことが起きない限り止められないこともない。おかげで素直だった頃の私は消えて騙すことが慣れてしまったけど。

「早くしないと遅刻しちゃうよ。遅刻した人には真田君レギュラーメンバーでも容赦ないって聞くけど?」

天才的でカッコいい姿を見せてくれるんでしょ、と茶化すように笑って耳元で囁く。だって私と一度取り付けた約束と言う名の契約は絶対に破らない、絶対と言う名において。

「そうだった!じゃあな、
渚、愛してるぜぃ。」

そう言って普段なら渋るのを宥めすかしてどうにかして部活に向かうのにブン太は学校に向かって走り出したブン太。彼は一度も私との約束を破ったことがない。まるで私との約束はこの世界での法則とでも言うように。

だんだん遠くなって行くブン太を見つめながら私は時計を確認した。結構ギリギリの時間だ。鉄拳制裁をされないことを祈るよ。この前チラッと覗きに行った時彼の後輩が酷い顔をしてたから。ブン太の可愛い顔があんなに腫れたらさすがに可哀相だ。これが幼馴染みと言う贔屓目なのだろうか。

「さて、久しぶりに丸井君のため家庭科室を借りに行こうか。」

そうやって、約束をした日には早くに来て家庭科室でお菓子を作ってあげるのが日常茶飯事になった私も急いで学校に向かった。


「ああ、私もブン太のこと好きだよ。」

愛してるかは別だけど。


title…『Chien11』より。




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