君にくびったけ


「水城は本当に可愛いね。それとも美しい、かな?言葉で言い表せないほどだよ。」

朝日を浴びたように金色に輝くゆるいウェーブがなされた髪、伏し目がちに開かれているサファイアのような澄んだ碧い瞳、日に焼けたことがないような白い肌。
色素が全体的に薄いためか何処となく儚さが漂っている。

「全く…何で父さんたちも水城の素晴らしさに気付かないんだろう?」

こんなにも綺麗なのにねえ、と言っても彼女は恥ずかしいのか返事もしない。照れてる姿も可愛いな。

「そうだ!今日は水城にプレゼントがあるんだ。」

ゴソゴソと鞄の中を探す俺を水城に見つめられていると思うと何故か顔が火照る。水城はそんな俺がどんな風に見えているのだろう?

「じゃーん!シロツメクサの花冠が精一杯だったんだけど…。今日は水城と出逢って一年だから。」

水城と出会ったのは中学二年生の頃に行った美術鑑賞会の帰り道だった。美術館の周りにある骨董屋を訪ねた時、俺は初めて恋をした。

彼女がいた骨董屋の店主は
『こいつに魅入られたなら仕方ないねぇ?』
と彼女を俺に譲ってくれた。

今思えばあの店主が彼女の父親ってことになるのかな?あの時結婚の申し出しとけばよかった。でも譲ってくれたんだからそのまま嫁に貰っていいってことかな?どっちにしろ今度会ったらお礼を言わなくちゃ!

「俺は水城のことを愛してるよ。自立したら二人で暮らそう。」

例え家族が、世界が反対したとしてもね。



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