放課後

「・・・付き合って欲しいんやけど」

「ええよ、どこに?」

放課後、生徒もまばらになった教室で黒板を消していると、同じクラスの御堂筋翔にそう話しかけられた。御堂筋君は私の答えに少し間を置いて、そうやなくて、と手を振った。

「なまえちゃんに、告白してるんよ」

「え・・・え?」

御堂筋君を見ると彼の顔が少し赤く染まっていた。告白、と御堂筋君は言ったのか。つまり付き合って欲しい、というのは彼氏彼女のそれだろうか。いや、でも御堂筋君が私なんか好きになるわけない。夢だ、きっとこれは夢に違いない。冷静になれないパニックした頭でぐるぐる考えていると、御堂筋君にほっぺを摘ままれ引っ張られた。痛い、と言葉にならない言葉で御堂筋君に言うと、御堂筋君はため息をついた。

「痛いやろ?夢やないで」

「御堂筋君、エスパー?」

「ちゃう、何でそうなんの」

「だって、」

「君はホンマに素直やねぇ」

素直、と言われて照れていると、御堂筋君に褒めてない、と言われた。何だか話が脱線してきた。話を元に戻そうか、と御堂筋君に言ってハッとする。私、御堂筋君に付き合って欲しいって言われたんだった。再びの衝撃に持っていた黒板消しを落とす。落とした黒板消しを見て、それから御堂筋君をじっと見る。アホ、と御堂筋君が呟いた。

「返事は今日やなくても、」

「私でよかったら、お願いします!」

ピッと気お付けをして大きな声でそう言うと、私の落とした黒板消しを拾おうとかがんでいた御堂筋君が顔だけ上げて私を見る。

「タイミング、悪いなぁ」

「や、だって、私、パニックやし必死で」

「キモ」

御堂筋君は口に手を当てて笑った。彼女になる人にキモ、ってひどいんじゃないですか。体の力を抜いて緊張を解すように息を吐くと、御堂筋君が私に手を差し出す。握手とも違う手の出し方に戸惑っていると、その手で頭をチョップされた。痛い。

「前々から思っとったけど、君ホンマにアホやね」

「ひどいなぁ」

御堂筋君が私の手を握る。帰るで、と落とした黒板消しはそのままに、私達は教室を出た。

「聞いとらんかったやろから言うけど・・・好きや」

「・・・私も好き」


end
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京都弁?わからない


2014/05/20 宙

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テーマ「人外ファンタジー」
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