神とボスに誓って 「ドッピオ、私の可愛いドッピオ」 ボスではない声が僕を呼ぶ。扉の向こうで僕を待っている彼女の声だ。彼女は僕がもう扉の前に着いている事に気付いているのだ。僕が扉のドアノブに手をかけゆっくりと回す。 「なまえさん」 「ドッピオ」 僕の顔を見て彼女、なまえさんは微笑む。ベッドの中で体だけ起こして、読んでいたらしい本を閉じた。 「すみません、遅くなりました」 「いいのよ、ボスの指令は終わったの?」 「えぇ、今ボスに報告したところです」 「そう、すぐに来てくれたのね。嬉しい」 なまえさんは扉の前に立つ僕を手招きして呼んだ。ここに座りなさい、と少し横にずれ、ベッドの空いた場所を指す。僕は彼女の言う通りにベッドに座った。 「なまえさん、具合はどうですか?」 「今日はとても良いの・・・ドッピオが来てくれたからかな」 「僕が来て具合が良くなるなら、毎日来ますよ」 「ふふ、本当に?」 はい、と頷くと、なまえさんはありがとうと微笑んだ。なまえさんは、生まれつき体が弱く、1日のほとんどをベッドで過ごしている。そんな彼女が何故ギャング等に身を置いているのかは、誰も知らない事だった。拾われた、と以前僕に話してくれた事があったが、どういう経緯なのかは知らない。僕にとっては、どうでもいいことだ。 「ドッピオ、私も今度、ボスの指令である場所に行くの」 「えっ?聞いてないですよ?」 「今言ったもの」 「そうじゃなくて・・・」 ボス、と心の中で呼ぶ。どうして僕に言ってくれなかったんですか、と。 「私のチームの補佐が付くから、簡単に終わるわ」 「でも、この部屋を出るんですよね」 「少し、ね」 「・・・」 なまえさんが僕の頭を優しく撫でる。僕がなまえさんの方を振り向くと、なまえさんは困ったように眉を八の字にして笑う。 「そんな顔をしないで、ドッピオ」 「何でボスは僕に補佐を命令しなかったんだ・・・なまえさんを守るのは僕なのに」 「あなたはボスの右腕。もっと大事な仕事があるのよ」 「でも」 「こら、ボスに逆らうの?」 違います、とブンブンと頭を振る。なまえさんはクスクスと笑い、僕の頬を撫でた。 「可愛いドッピオ、何がそんなに不安なの?」 「・・・あなたが、いなくなるのが」 「大丈夫よ、ドッピオ。私はあなたの側からいなくなったりしない」 「本当に?ずっと、ですよ?」 「えぇ、約束する・・・いいえ、誓うわ」 そう言って彼女は僕にキスをした。 end ---- タイトル「神とボスに誓って」 確かに恋だった様 2014/04/25 宙 |