サシャ

大学から帰ってきて甘いものでも食べようと、昨日コンビニで買ってきた新発売のプリンを取り出そうと冷蔵庫を開けると、手前に置いてあったはずのプリンが姿を消している。朝は確かにあったのに。やられた。これで何度目だろうか。私はため息をついて犯人であろう人物の帰りを待った。

「ただいまー・・・おわっ!なまえ?どうしたんです?そんな仁王立ちして」

「サシャ、私に言うことない?」

「え、え?」

同居人であるサシャにぐっと顔を近づけ迫る。サシャは口ごもり目が泳ぎだす。全く、嘘が下手なんだから。

「怒らないから」

「えっと・・・なまえの分のアイスと今日の夕飯の材料、食べちゃいました」

「え」

「え?」

サシャが私に聞き返す。聞き間違いでなければ、サシャは冷蔵庫の中身を全部食べたということになる。プリンに気を取られて全く気付かなかった。あぁ、頭が痛い。

「・・・」

「ごめんなさい、なまえ」

「サシャ!」

「ひぃ!怒らないって言ったじゃないですかぁ!なまえの嘘つき!」

「起こるよ!プリン一個だと思ってたのに!」

「プリン?あぁ、そういえば食べました!」

サシャはハッとしてそう言った。美味しかったですよ、と言われ私は床に座り込んだ。サシャがしゃがんで私の手を握りなまえ、と苦笑いをした。

「朝ごはんの後にお腹が減って・・・昼まで我慢出来ませんでした」

「もう・・・サシャの胃袋はいつ満腹になるの」

「いつでしょうね」

「バカ」

えへへ、と笑うサシャに私も笑うしかなかった。

「今日は外食しようか、冷蔵庫に何もないし」

「少しは入ってますよ?えっと、マヨネーズとか」

「それ食材じゃなくて調味料だから」

「あはは・・・」

「サシャの奢りね!お寿司にしよう!」

「えっ!ちょっとなまえ!」

勘弁してくださいよ、と言うサシャに向け、私は舌を突き出した。


end
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サシャはこのネタしか思い浮かばなかった・・・


2014/04/23 宙

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