君の手で制裁を 「私は、あなた達に着いていく」 自分でも馬鹿な事をしたと思っている。私のチームとは正反対の彼らに惹かれた、なんて。なんて、馬鹿な事。彼らの、いや、彼の目的を知った時、私は胸を打たれた。真っ直ぐに前に進む彼らを見ていると、自分があまりにもちっぽけに見えて腹立たしい。それ以上に羨ましかった。 「ごめんなさい」 「謝って済む問題じゃねぇよなぁ・・・」 「わかってる、だから、許してくれなんて言わない」 「当たり前だ・・・」 裏切り者の暗殺チーム。その中の裏切り者の私。どっちにいるにしろ、私は制裁を受ける。それがボスから下るものか、元仲間から下るものかの違いだけだ。いや、どっちにしろボスからは制裁が下る。 「リーダーによぉ、お前がなまえを殺せって言われてんだ・・・先に行ったメローネとか、プロシュートもペッシも、言われてねぇんだ」 「そう、そうか・・・さすが、リゾットだね」 「知ってたんだよなぁ・・・リーダーは、俺と、なまえが」 「やめよう、それ以上は、お互いに辛いだけだ」 遠くで仲間の声がする。ジョルノとミスタだ。目の前の敵に警戒心を向けたまま声のする方を振り向く。しばらくそのまま黙っていた。 「ねぇ、ギアッチョ」 「・・・」 「何で攻撃しないの」 「・・・」 「彼らがもうすぐこちらに着く。3対1は、さすがにきついよ?」 そう言ってギアッチョの方を見る。彼は私をきつく睨んだまま、拳に力を入れぎゅっと握っていた。こつり、と音を立てながら私はギアッチョに近づく。 「ギアッチョ、私を殺しに来たんだろう」 「あぁ」 「それなら、何で」 「なぁ、こういうのはどうだ?俺があいつらを殺して、ボスの手掛かりも、なまえももらっていく」 ギアッチョがスタンドを纏い、私に提案する。私は首を横に振って、ギアッチョに向かって微笑んだ。 「駄目だよ、私は・・・もうチームには戻らない」 「っ、仕方ねぇなぁ・・・」 「・・・」 「なまえ、俺はお前を殺す」 ガキン、とぶつかる音と衝撃。辺りの空気が冷たくなる。パキパキと、地面が凍る。 「ごめんね、ギアッチョ」 涙だけが、私の頬を伝って流れた。大好きだよ、と心の中で呟いて、私は武器をとった。 end ---- タイトル「君の手で制裁を」 確かに恋だった様 2014/04/23 宙 |