つぶやいた隣に君はいない

旅が終わったら、伝えようと思っていた。この厳しい辛い旅を無事に終え、生き延びて日本に帰ったら、必ず私の想いを伝えようと決心していたのに。何で、何で、何で。

「なまえ、君に伝えたい事があるんだ」

「なあに?」

「DIOを無事倒したら、伝えるよ」

「今知りたいのに」

「いや、今はまだ・・・」

「じゃあ、私も」

「え?」

「ふふ、秘密」

きっと同じ想いを抱いていた。
けれどあの旅の途中では言うことが出来なかった。むしろこんな想いは抱えていてはいけなかったのだ。だけど、私達は知らない間に距離が縮まり、知らなかった互いを知った。深く、深すぎるくらいに。

「花京院君・・・?」

駆けつけた時にはもう遅かった。私が彼を見つけた時、お腹に大きな穴が開いて、静かに眠っていた。嘘だと思った。悪い夢なんだと。

「い、嫌だ、いや、いやああぁぁぁ・・・っ!!!」

泣く暇もなく近づいてくる敵に向かって殺意を向けた。叶うわけがないと知っていても、向かっていく事しか頭になかった。仲間に止められ無理矢理離されていなかったら、私は今頃彼と同じ場所に居たに違いない。

「おい、いつまでそうやってんだ」

「ごめんなさい、今行くから」

帽子の唾を下げながら、旅の仲間の空条承太郎は私に背を向けその場で私が来るのを待った。そういえば彼が「承太郎は不器用だけど優しい奴」と言っていたっけ。

「花京院君・・・無事に、日本に帰って来たよ」

空を見上げながら呟いた。

「花京院君、私、花京院君が、」

頬を涙が伝う。もう隣にいない彼に向かって、小さな声で呟いた。


end
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短い
タイトル「つぶやいた隣に君はいない」Largo様


2014/04/18 宙

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