2 「…うぅ、緊張するな」 兄さんにはああ言ったものの、やはり怖い。私の気持ちを伝えてしまえば文次郎との友人関係は崩れ壊れてしまうのだから。 「なまえ」 「え、あ…!」 「俯いてどうした、具合でも悪いのか」 い組に行く途中、ばったりと文次郎と鉢合わせてしまった。待って、まだ心の準備が出来ていないんだ。 「違…考え事、じゃなくて文次郎!」 「な、何だ?」 「あ、のさ…」 言葉が出てこない。心臓がうるさい。顔が熱い。 「…私、」 「文次郎ぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「え、」 「な、何だ!?」 文次郎が振り返り、刃物がかちあう音が廊下に響く。声の主は見なくてもわかる、兄さんだ。 「貴様ぁ…!なまえに色目使いやがって!」 「何の話だ!?」 「とぼけるな!なまえはやらん!!」 「何故俺がなまえを貰う必要がある!?」 「なまえがお前を好きだからだよ!」 「兄さん!」 声が響く。文次郎は黙ったままで、兄さんに胸倉を掴まれている。少しの間、沈黙が流れた。 「……え?」 「…もう、兄さんの馬鹿」 「……まさか、なまえ…?」 兄さんの言いたい事は、表情から読み取れる。私は小さく頷いた。 「まだ言ってなかったのかっ…」 「……兄さんの馬鹿」 「う、」 「馬鹿、馬鹿、嫌いだっ」 「なっ…!!」 ふん、と兄さんと文次郎に背を向けた。伝える前に、気持ちはばれてしまった、兄さんのせいで。文次郎はさっきから黙ったままで、私に背を向けていたから表情が見えず何を思って考えているのかがわからない。どうしよう、振られたら。私が伝える前に、振られちゃったら。涙が、出そうだ。 「なまえ」 肩を叩かれ聞こえてきたのは文次郎の声。嫌だ、振り向きたくない。 「…俺も、お前が好きだ」 「え……?」 「好きだ」というその言葉に思わず振り返る。見上げた文次郎の顔は真っ赤で、嘘じゃないとわかる。私の目から、涙が溢れた。 「な、泣くやつがあるかバカタレ!」 「だってだって…兄さんのせいで告白ぐちゃぐちゃにされちゃったし、私から言えなかったし」 「…そうだな、俺も、なまえの口から聞きたい」 そう言って文次郎は私の頬に手を沿える。 「…文次郎が、好きだ」 (俺の事忘れてるだろお前ら) END ----- 25600番亜美さんキリリク夢 大変お待たせして申し訳ありませんでした!!(土下座) こ、こんな感じで良かったでしょうか!?イメージと違っていたら申し訳ないです!実はこれとは違う内容で最初書いていたのですが、最終的に留さんの夢みたいになったので書き直しました… 受け取って頂ければ嬉しいです!リクエストありがとうございました!! 2013/04/07 宙 |