*同棲シリーズ


「……っ(あの野郎…!)」

冷蔵庫の扉を勢い良く閉め、怒りを押さえながら隣の部屋へ向かった。

「おい、エレン!俺の……あ?」

部屋にいるはずのあいつが見当たらず、俺の怒りは矛先を見失った。キョロキョロと部屋を見渡すと、定位置にかけてあるはずのジャンパーがない。どうやらいつの間にか出かけたらしい。

「チッ…帰って来たらぶん殴ってやる」

一人呟き自分の部屋に帰ろうとした時、ガチャリと玄関の扉が開く音がした。

「あっ、ジャン!何勝手に人の部屋に入ってんだよ!」

「入ってねぇよ、てめぇに用があったから開けただけだ」

「用?何だよ」

「だから…」

収まりかけてた怒りがまたフツフツと沸いて来る。エレンは何事もないかのようにガサガサとコンビニの袋を持って部屋に入ろうと俺の横を通る。俺はその背中に蹴りをいれてやった。

「ってぇな!何すんだ!」

「てめぇ、俺の牛乳プリン食っただろ」

「はぁ?」

「あれほど人が買って来た物は飲み食いすんなって言ったのによぉ…」

「…あぁ、あれか。ミカサにやった」

「…ミカサ?」

「今日、お前がいない時に来たんだよ」

エレンはそう言って、悪かったよ、と軽く俺に謝った。

「ミカサなら、仕方ねぇか…」

「……そういやお前、ミカサのこと好きだったもんな」

「は、はぁ!?そういう意味じゃねぇよ!俺は客人に出すなら仕方ないって…」

「ジャン」

突然引き寄せられ口づけられる。壁にどん、と押し付けられ、角度を変え何度もキスをされる。

「おい…エレン…!っ、何だよ…!」

「黙れよ」

「なっ…!」

やめろと言っても俺を無視して行為が進んで行く。乱暴にシャツを乱され、直接肌にエレンの肌が滑る。体が震えるのは、怖さではなかった。流されまいとエレンに抵抗し、思い切り足を踏んでやった。

「っ…いってぇ!」

「…は、っ何急に盛ってんだよ!?」

「別に盛ってねぇよ!」

「盛ってんだろ!この絶倫野郎が!」

お互い大声で喧嘩していると隣からドンドンと壁を叩く音がして、俺もエレンも口を閉じる。時計を見ると、もう12時を過ぎていた。

「…つーか、こんな夜にコンビニに何買いに行ったんだよ」

「……」

「おい、エレン」

「…ん」

エレンがコンビニの袋を俺に突き出す。それを受け取り中身を見ると、牛乳プリンが二つ、入っていた。

「わざわざ…」

「お、お前が怒ると思って……そしたら、ミカサならいいとか、言うし」

「…ぷっ、何だエレン。妬いてんのか?」

「っ、うるせー!」

ドン、と隣から音がする。びくっとお互い肩を震わせ、驚いた。

「…サンキュ」

「おう…」

「……おい、エレン」

「あ?っ、ん」

エレンが俯いていた顔を上げる。俺はエレンに軽く、キスをした。

「これは、ありがたく受け取っておくぜ」

「二つ食うのか?」

「当たり前だ、誰がお前にやるか」

「…俺が買ってきたんだけど」

「俺の為にだろ?」

そう言うとエレンは少し顔を赤くして、「そんなんじゃねぇ!」と怒鳴った。また隣から、壁を叩く音がした。


End
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エレジャンエレみたいになった。隣の部屋にはコニーが住んでると想像しています。てか何で牛乳プリン?


2014/04/05 宙

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