不意討ち


※事後


痛い。尻も腰も手も足も、全部が痛い。よくも力いっぱい揺さぶってくれたな、と言葉に出さず相手を睨んだ。奴は俺の視線に気付かず欠伸なんかしてやがる。俺がまだ息切れをしてるってのに、夜通しの訓練の後でどこにそんな体力が残っているのか、奴はケロッとしていた。肩を落とし、ため息をつくと、それに反応し奴がこちらを振り向く。

「ん?何だよジャン、まだやりたりねーのか」

「何でそうなるんだよ…この絶倫野郎が」

「はぁ?」

「ちょっとはこっちの身にもなれってんだ!」

側にあった固い枕をエレンに向かって投げつける。上手いこと避けやがって、余計にいらつく。

「あっぶねぇな…!だいたい…俺の下であんあん喘いでたのは誰だよ!」

「うるっせぇよ!てめぇムードもへったくれもねぇな!」

「俺にムードとか期待すんなっ!」

「してねぇよ!!」

ふん、とエレンから顔を逸らす。同じようにエレンも俺から顔を逸らした。

「…ジャンだって最初は乗り気だっただろ」

「加減を知れって言ってんだ!こっちは訓練で疲れてんだよ!」

「…体力落ちたんじゃねぇの」

小さな声で、でも聞こえるようにエレンが呟く。3秒程間が空き、俺は右手をエレンに向けて突き出した。エレンが俺の右手を受け止める。

「誰の体力が落ちたって…?俺はどっかの死に急ぎ野郎と違って体力の使い方は知ってるんでね…」

「っ、まだやれるんじゃねーのか?」

「ハッ、乗ってやんねぇよ…誰がやるか!」

突き出した右手を引っ込める。エレンが小さく舌打ちをした。チッ、じゃねぇよ、俺を殺す気か。

「いいか、今度からは訓練が長引いた日はしねぇからな…てめぇも兵士なら次の日のことを考えろ」

「…何だよ、さっきまでは可愛かっ」

エレンがぱっと口を抑える。しまった、みたいな顔をして、チラ、と俺を盗み見る。

「っ…!?」

何だよ、それ。ふざけんな。

「……ジャン」

「っんだよ…こっちくんな」

「お前がそんな反応するから…」

嫌でもそれに目が行く訳で、俺は近付くエレンとは反対に、ジリジリと後退する。

「もう一回やろう」

「死ね」


End
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どこでやってんのとか言わないで!突発的に思いついたやつだから!


2014/04/01 宙

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