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「…ふう」

街を回り、何軒かの家を訪ねて情報を集めた。どうやら子供の誘拐事件が起きているらしい。きっと能力者の仕業だろう。弱い子供を狙っているんだ。

「なまえちゃん、大丈夫かな…」

携帯電話を取りだし連絡を取ろうとした時だった。遠くの方で爆音がし、街の人の悲鳴が聞こえた。

「まさか…!?」

能力者が現れたのかもしれない。そう思い爆音がした方向へと飛ぶ。もしかしてすでになまえちゃんが戦っているかもしれない。急がないと、と気持ちが焦る。

「なまえちゃん!」

「っ…與儀!」

「下がって!」

予想通り能力者となまえちゃんが戦っていた。素早く武器を取り出し、能力者に向けて技を発動する。

「輪め…!」

「葬送」

能力者はそう捨て台詞を吐いて消えた。

「…なまえちゃん!大丈夫!?」

「大丈夫…」

「腕…怪我してるじゃん…!」

「かすり傷だよ、平気」

「あぁっ、待って待って!」

平気、と言ってそのまま立ち上がるなまえちゃんを制止して、ハンカチを取り出しなまえちゃんの腕に巻き付ける。かすり傷、なんて言っていたが、結構深い傷だった。

「別に…いいのに」

「ダメだよ!俺、なまえちゃんが痛いのとか苦しいのとか嫌だし、心配なの!」

「……」

「ごめんね…俺がもう少し早ければ…」

「與儀のせいじゃないよ、ちゃんと葬送したし」

「でも…」

「もう、しつこいなぁ」

「あっ…う、ごめん…」

この前と同じように、怒られてしまった。こういうところがダメなのか、と反省するものの、落ち込んでしまう。なまえちゃんはすたすたと先を歩き、俺はその後ろ姿を見つめながらゆっくりと着いていく。

「……ごめん」

「え…」

突然、なまえちゃんが立ち止まり、俺を振り返ってそう言った。

「本当はありがとうって言わなくちゃいけないのに…言い過ぎた…この前も」

「なまえちゃん…!」

「與儀が心配してくれてるの、わかってるから…謝れなくて、変な態度とっちゃってどうしたらいいか…って思ってた」

真っ赤な顔で少し目尻に涙を溜め話すなまえちゃんに、何だか気持ちが堪らなくなって駆け寄り抱きしめた。與儀、と俺の名前を呼ぶなまえちゃんがすごく愛しい。

「俺もごめんね…!」

「ううん…與儀は心配してくれただけだから」

「俺…心配し過ぎかもしれないけど…でも、それはなまえちゃんが大切だからで…これからも、心配させて?」

「…うん、ありがとう」

大好きと笑うなまえちゃん。可愛くて、愛しい。俺も大好き、と答えて額にキスをした。


心配させて
(でもこのハンカチのセンスはどうかと思う)
(なっ、何で!?可愛いのにニャンペローナのハンカチ!)


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38983hitキリリク夢
月様のみお持ち帰り可。
リクエストありがとうございます!こんな感じになりました!ご期待に添えなかったら申し訳ございません…
與儀って彼氏としたらきっと重いんだろうな。けどそんな與儀が好きです。


2013/06/22 宙

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