2 「…ふう」 街を回り、何軒かの家を訪ねて情報を集めた。どうやら子供の誘拐事件が起きているらしい。きっと能力者の仕業だろう。弱い子供を狙っているんだ。 「なまえちゃん、大丈夫かな…」 携帯電話を取りだし連絡を取ろうとした時だった。遠くの方で爆音がし、街の人の悲鳴が聞こえた。 「まさか…!?」 能力者が現れたのかもしれない。そう思い爆音がした方向へと飛ぶ。もしかしてすでになまえちゃんが戦っているかもしれない。急がないと、と気持ちが焦る。 「なまえちゃん!」 「っ…與儀!」 「下がって!」 予想通り能力者となまえちゃんが戦っていた。素早く武器を取り出し、能力者に向けて技を発動する。 「輪め…!」 「葬送」 能力者はそう捨て台詞を吐いて消えた。 「…なまえちゃん!大丈夫!?」 「大丈夫…」 「腕…怪我してるじゃん…!」 「かすり傷だよ、平気」 「あぁっ、待って待って!」 平気、と言ってそのまま立ち上がるなまえちゃんを制止して、ハンカチを取り出しなまえちゃんの腕に巻き付ける。かすり傷、なんて言っていたが、結構深い傷だった。 「別に…いいのに」 「ダメだよ!俺、なまえちゃんが痛いのとか苦しいのとか嫌だし、心配なの!」 「……」 「ごめんね…俺がもう少し早ければ…」 「與儀のせいじゃないよ、ちゃんと葬送したし」 「でも…」 「もう、しつこいなぁ」 「あっ…う、ごめん…」 この前と同じように、怒られてしまった。こういうところがダメなのか、と反省するものの、落ち込んでしまう。なまえちゃんはすたすたと先を歩き、俺はその後ろ姿を見つめながらゆっくりと着いていく。 「……ごめん」 「え…」 突然、なまえちゃんが立ち止まり、俺を振り返ってそう言った。 「本当はありがとうって言わなくちゃいけないのに…言い過ぎた…この前も」 「なまえちゃん…!」 「與儀が心配してくれてるの、わかってるから…謝れなくて、変な態度とっちゃってどうしたらいいか…って思ってた」 真っ赤な顔で少し目尻に涙を溜め話すなまえちゃんに、何だか気持ちが堪らなくなって駆け寄り抱きしめた。與儀、と俺の名前を呼ぶなまえちゃんがすごく愛しい。 「俺もごめんね…!」 「ううん…與儀は心配してくれただけだから」 「俺…心配し過ぎかもしれないけど…でも、それはなまえちゃんが大切だからで…これからも、心配させて?」 「…うん、ありがとう」 大好きと笑うなまえちゃん。可愛くて、愛しい。俺も大好き、と答えて額にキスをした。 心配させて (でもこのハンカチのセンスはどうかと思う) (なっ、何で!?可愛いのにニャンペローナのハンカチ!) ----- 38983hitキリリク夢 月様のみお持ち帰り可。 リクエストありがとうございます!こんな感じになりました!ご期待に添えなかったら申し訳ございません… 與儀って彼氏としたらきっと重いんだろうな。けどそんな與儀が好きです。 2013/06/22 宙 |