二
「ん?」
「!!!!?」
室内の空気が一気に張り詰める。
普通の状況で考えると、来客なのだから家主であるキッドが戸を開けに行くのが妥当である。
しかし、
「来たぁあぁぁ!奴が来たぁあぁぁ」
その家主は大パニック状態に陥っている訳で。
「そんな訳ないだろユースタス屋…
お前は俺を萌え殺させる気か…っ!」
ローもローで今にも悶え転がりそうな勢いだった。
そんな調子でいるうちに、カチャリ、という音が聞こえる。鍵が開けられたのだろう。そしてすとん、すとん、と静かな足音。それは確実にこちらにやって来ている。
「ぎゃあぁあぁぁ!!!とっ、トラファルガー!逃げるぞ!」
「いや無理だしwwwユースタス屋ここ4階wwwww」
2人がぎゃあぎゃあと騒いでいる間に足音はゆっくりと近付いてくる。あまり広くもないマンションの一室の廊下など僅かだ。
「もう駄目だぁあぁぁ!」
「ユースタス屋まじでちょっとうるせぇ」
もうキッドはあてにならないと思い、とりあえずローは立ち上がり、強盗だった場合に対処できるようにと身構える。
そして、遂にリビングの戸が開いた。
「うわぁあぁぁぁあぁぁ!!!」
「!」
すると、今までに無い大絶叫をしたキッドが、パニックのあまりローの服を掴んで引っ張ってしまった。
そのままバランスを崩したローにつられてキッドもなだれ込み、2人はソファの下に倒れ込む。
いくら同じ男子だとしても圧倒的に筋肉質で体の大きいキッドの下敷きになったローは侵入者の対処をしようにも、身動きがとれない。そのうえ、キッドはもう気絶寸前になっている。
「ちょ!ユースタス屋ァ!」
必死で呼びかけるローのすぐ傍には、もう侵入者がいた。
不気味に立つそれは髪が長く、量も多いそれは顔まで隠している。
「ちッ…!」
もう駄目かと思ったその時、
ローは見覚えのある金色に気がついた。
「…も、しかして、キラー屋か?」
「うぁぁあぁぁ!…って、え…?」
「キッド…そんな叫ぶなんて…傷つくぞ」
静かな部屋に虚しくその呟きが響いた。
「だから!仕方ねぇだろって!」
「何がだキッド」
なんとか正気に戻ったキッドは、先程からずっと言い訳のような弁明をしている。
それを聞いている訪問者は、キッドの幼なじみで2人の共通の知人であるキラーだった。
「でもまさか雨降ってたなんてな」
そんなキッドを、映画の時のようにニヤニヤと笑いながら見ているローは、カーテンを少し開けながら外を見る。
2人が映画に夢中な間に降り出した雨のせいで濡れたキラーが、2人にとっては何よりも怖い侵入者となってしまったのだった。
「まさかキッドにそんなこと言われるなんてなぁ…
俺は明日からどうしたら良いんだ」
「だから悪かったって!許せキラー!」
シャワーを借り、頭をタオルで拭きながら溜息をつくキラーに、キッドは土下座する勢いで謝っている。
ふとローの手の中で光る携帯を見ると、さっきから頭にあった人物からの着信があった。
一人で全てのことに納得しながら、
ローは次は2を借りて来ることと、明日のその犯人にする携帯を勝手に弄った罰を一人考えて、フッと薄く笑った。
――――――
玄斗様より相互記念頂きました!!
ちょッww
ホラー苦手なキッドとか可愛いすぎるんですが!!
まさか「ホラー苦手」がキッドになるとは(笑)
そして体育座りローさんが可愛くて結果的に二人とも可愛いなコノヤロウ!!
床で揉み合う二人にムフムフしたのは言うまでもない←
体格差って素晴らしい!!
玄斗様、ありがとうございました!!
こんなトコロとこんな管理人ですが、今後もよろしくお願いします!!
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[mokuji]
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