!携帯に自分の番号から死の予告電話がかかってきた人物が、
その通り死んじゃう某有名ホラー映画みたいな現パロです。
かなり都合の良い解釈で書いちゃってます。
分からない人ごめんなさい…←







『これ…嘘だよな……』

真っ暗な部屋。明かりはテレビのみ。
しかし、そのテレビも全体的に暗い。

「………」
「………」

『まさか…っ!』

クーラーは点いている。しかし、じとりと滲む汗。

「………」
「………」


『ぎゃあぁあぁぁ!!!!!』

そんな中、彼ら2人はソファに並んで座っていた。

「うわあぁあぁぁ!」
「うおっ…!」


テレビの中で男が一人、何者かに引きずり落とされた。その悲鳴と共に大きな声を出したのはユースタス・キッドだった。

「びっくりした…」
「わ、悪ィ」
「…ふふ」

横で脚をソファに上げ、体育座りのように小さく座っているトラファルガー・ローが声を出したのは、そのキッドの声につられただけで、本人は先程からテレビなんかより横目でずっとキッドの方を見ていた。


一緒に見ようと言い出したのは、ローの方からだった。
ローがキッドの家に泊まることができる土曜日の夜に何かDVDを見ようと考えた2人は、キッドの家に行く途中にレンタルDVDショップに寄った。
そこでたまたま目に入ったのが、このジャンルだった。

ホラー映画である。

ローにとっては一番好きなジャンルなのだが、彼の一番好きな恋人は違った。
ローが見ようと言った瞬間から、キッドの顔色が変わった。
それまでは別に何でも良い、トラファルガーに任せると言っていたのに、いきなりそれよりこっちはどうだ!?だの、やっぱ俺この新作見てェ!!と主張しだした。
勘に関しては人一倍良いローがその反応に気が付かない訳が無い。にやりと笑うと、ローは適当に一つのDVDをホラー映画のコーナーから取ると、キッドの持っていたDVDも手から取って、そそくさとレジに行ってしまった。


キッドの自宅であるマンションに行く道中で、ローはキッドににやにやした笑みを浮かべて聞いた。

「ユースタス屋、もしかしてホラー怖いのか?」
「!!!! っな、んな、訳ねェよ!」
「図星過ぎる反応だな。可愛いぞ」
「うっせェ黙れ変態野郎」
「よし帰ったらとりあえずまずこれ見るぞ」
「えっ、ちょ、」
「別に怖くねぇんだろ?だったら問題は無いな」
「いや、え」

戸惑うキッドを無視してローはキッドの自室に着くと自分の部屋のように持っていた合い鍵で開け、部屋にどかどかと突き進み、DVDをセットした。
そんなことまでされたらキッドももう諦めるしか無い。しぶしぶソファに座った。


しかし嫌いなものは嫌いであることは事実で、始まって約30分、キッドはもうかなり色々いっぱいいっぱいだった。
何かあると必ず絶叫するのだ。ローにとってはそれがもう独立した見物で、映画なんてそっちのけでもはやキッドしか見ていない。

「…なぁ、もうこれ嫌だ…アリス見ようぜアリス」
「ふふ、諦めるなよユースタス屋…」
「もう帰れよお前頼むから」

もはやホラーが嫌いということをも隠すのが面倒な程に叫び疲れたキッドのその顔は、なんともローをそそるだけで、もうキブアップなんて絶対にさせてくれないだろう。


「…ん?」

ふと気が付くと、机に置いてあったローの携帯が光っている。
手に取り、開こうとしたローは違和感を感じた。
携帯が鳴るのが煩くて嫌っているローは、基本的にマナーモードかサイレントマナーの設定にしている。しかし、今手の中にある携帯はマナーが解除され、音楽を鳴らしていた。
それに、

「…ユースタス屋、ちょっとテレビの音量下げてくれ」
「あ?…おう」

ちゃんと聞いてみて確信を持った。
鳴っている音楽が、自分が一応設定していたのと異なっていたのだ。

しかもそれが。

「…おい、トラファルガー…
お前そんな趣味してたか?」
「馬鹿言うな。
俺だって驚いてるんだ」

さっきから何度もテレビから聞こえた、所謂"死の予告電話"のメロディだった。
その音楽は間もなく切れた。
見てみると、発信元は非通知で、伝言が残っている。

自分でマナーを解除した覚えも無いし、そんな悪趣味な着メロにした覚えも無い。
ローは誰に悪戯されたのか思案しているが、キッドはもう一大事だ。

「ちょ、おいトラファルガー!
やっべぇって!お前死ぬぞ!」
「だから馬鹿言うなってユースタス屋。どうせ誰かの悪戯だ。
本物は死ぬ人物本人からの着信があるはずだろ?
なのに見てみろ。非通知だ」
「非通知でも怪しいだろ!」
「…とりあえず聞いてみるか」
「はっ!?馬鹿じゃねぇのお前!!」

必死になって止めようとするキッドを無視してローは携帯のキーを押し、留守電を聞くために携帯のボタンを押した。
機械音の後に再生されたそれに、2人はまた驚く。

「…ふむ、」
「てめぇなんでそんな落ち着いてられんだよ!
この声、お前だろ!?」

聞こえてきた音声は、紛れも無、ロー本人の笑い声だった。
あれほど聞くのを止めていたキッドもしっかり聞いてしまったようで、顔面蒼白となり、今にも震え出しそうだ。

「いやぁ、よくこんな手の込んだ悪戯を誰がするかと思ってな…」

もう一度誰の仕業か考えながらローはキッドのその表情が可愛いなぁなど考え、キッドはこの死の予告電話から逃れる術を映画から読みとろうと必死になるというあまり有効とは思えない行動をしていた時、

『ピンポーン…』

部屋に玄関の呼出し音が響いた。



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