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折原さんが酔っぱらい



リクエスト:酔っぱらい

帰宅した私の目に飛び込んできたのは、玄関で靴も脱がずに倒れ込んだ臨也の姿だった。
「臨也!?どうしたの!?何があったの!?」
すぐに彼に駆け寄った。誰かに殺されかけ、息も絶え絶えに逃げ帰ってきたのだと思ったのだ。
けれど彼から香った酒の匂いに、すべてを悟る。抱き起こしかけた手を離すと、重力に従った頭がゴンと鳴った。
「ちょっと……何すんのさ」
「起きたの?」
「いたたた……コブできた絶対できた」
「そんなとこで寝てたら風邪ひくよ」
うめく彼を無視して靴を脱ぎ、部屋の奥へと進もうとしたら足首を掴まれた。
「ちょっと何――」
「あっ、パンツ見えた」
手を振りほどいて肩を蹴った。「いてぇ!」と彼にしては珍しく気取らない声があがる。
「さっきから酷いなぁ。日ごろの感謝をこめて優しく介抱してくれたっていいと思うんだけど」
「どうして私が酔っ払いにそこまでしてやんなきゃいけないの」
「俺は酔っ払いである前に君の愛しの恋人なんだけどなぁ」
また奥へ進もうとすると、足首を掴まれて遮られた。今度はうつ伏せになって両手ですがりつく。
それでも歩こうとしてみるが、成人男性一人を引きずるのは重く、早々に諦めた。その場にしゃがみこむと、ようやく解放された。
「もー分かったから。フローリングの埃ぜんぶ回収して楽しい?」
「掃除は波江がちゃんとしてくれてますぅー」
「いつもの三倍うざいな……。ほら、早くベッド行こう」
「引っ張り起こしてよ」
「甘えてんじゃないよ!」
柔らかそうな後頭部を叩いたら、また「いてっ!」と悲鳴をあげた。それが何となく可愛くて、でも腹立たしさはぬぐえなくて、それらの感情をぶつけるように髪の毛をぐしゃぐしゃにかき混ぜてやった。
「何?俺が愛しくなっちゃった?」
「……」
やっぱりうざい。

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