一撃男 | ナノ


▼ 誤解は瞬時に解け

ジェノスってやつが去ってから暫くが経った

そういや、コイツ以外で俺の家に邪魔してくるのはアイツがはじめてかもな

「で、おまえはなんでいんだよ」

「ああ、うーん…ジャム作り過ぎたからお裾分けしようと思ったんだけど、もしかして米派だったりします?」

「俺に分けてください、いつでも歓迎です」

いつの間にか低姿勢になっている自分

ジャムなんて糖分たっぷりなもんは、今の俺にとっては贅沢品だった

昨晩、やけに甘い香りがして眠れないと思えばコレだったのか

「そういえば、昨日…弟子候補さんにあったんですが」

「だから、弟子じゃねーって」

「あれ、違うんですか」

「違ぇよ、アイツが勝手に思い込んでるだけだろ」

「でも、試練を与えられたって言ってましたよ。二十字以内。」

「は?アイツんなこと思ってたのかよ…アイツの話なげぇんだよ」

などと説明していたら、七面鳥の蒸し焼き娘は納得してくれたのととんでもない勘違いをされている事を俺に話してきた

「なんか、既婚にみられてるみたいなんですよね」

「まぁ、おまえもいい年してっからな」

「ああ、そういうことならいいんですけど」

「?…よくわかんねぇけど、アイツたぶん俺らより年下だろう」

「そうですね、敬語でしたし…礼儀正しい子でした」

「ああ〜…でもアイツ、若干人の話聞かねぇんだよな」

俺ははじめて、コイツと共有の人物の話をしているのかもしれない
テレビを見ながら、コイツとしゃべっているとドアの方でノック音がした

そしてやはり、昨日と同じ声がした

「やっぱり先生じゃないですか」

「だから、違うって!」

等と誤解を解きながら、玄関へと向かって行った

ジェノスが入ってくると、七面鳥の蒸し焼き娘が部屋にいることに気づき

「お邪魔だったでしょうか?出直してきます」

などと言いやがった、あれ?コイツなんか勘違いしてんじゃね?と思ったりもしたが、俺も思い過ごしで言うのも気が引けるし、邪魔じゃねーよなどと言って茶を入れることにした

「そういえば、お名前なんて言うんですか?」

「ジェノスです」

「私は七面鳥の蒸し焼き娘、よろしくね」

「はい!宜しくお願いします!」

「なんだよ、名前まだ知らなかったのかよ」

「昨日すれ違いさまに挨拶しただけだったからね」

「はい、お時間をとってしまい申し訳ありませんでした」

「かしこまってますね〜、ホント礼儀正しいですね」

「いえ、当然のことです」

なんか面白くねーななんて思いながら、さっそくジェノスに今日来た用件を聞くと、二十字以内にまとめて出直してきた、という事だった

「私、おいとましますね」

「ん、別にいてもかまわねーぞ」

「ジャム届けに来ただけだし、それに男同士のお話もあるでしょう?」

「気を使って頂きありがとうございます!」

「いいですよ、うちは近いのでいつでも来れますから」

まぁ、下だしななんて考えてじゃーななどと声をかけてやってるとジェノスがとんでもないことを言いだした

「別居…!まさか、離婚を検討されてらっしゃるのですか!」

え、えええ…!?俺と七面鳥の蒸し焼き娘はジェノスの発言に声を上げた

そして、七面鳥の蒸し焼き娘が俺と夫婦やってるっていうジェノスの最大な誤解を二人で小一時間ほどかけて必死に解いた

やっぱり、コイツ話を聞かないタイプだなと改めて思い知らされた




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