本の中にあった地上
子供のころ


『人魚姫』というおはなしをよく読み返した

ストーリーも結末も知っているのに



どうしてか

すごく惹かれたし、人魚姫になりたいなんて思った



その願いが叶ったのは来世だった




そう、今なのだ



「あー…なんどやっても謎過ぎるー」


海の中でおしゃべりしても苦しくないという、この便利さ


人魚の気持ちに近づけた、ちがう、人魚なんだ



見事に下半身が尾ひれの自分を見ては驚いたりしてる





そんな自分に周りの子はドン引きだった



とっても自然と私はぼっちになったのだ


だからといって、困ることは何もなかった


なぜなら、国にいなくとも自給自足で生きていける世界だと知ったのだ




「今日はーホタテたべようかなぁー」


ぷりぷりのホタテを求めて海の中で彷徨う



見上げればキラキラ光ってる


「地上は晴れてるんだねーいいなー」


なんとなく、地上にいた前世の自分が恋しくなった

懐かしい気持ちに浸っていると大きな音がして波が揺らいだ





「おおおお、王子様ですかなー!?」




変に興奮した、だってその子供は金髪だったのだから






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