ふたりの影が覆う




「ねぇねぇ、君がサボくんのペットちゃん?」

「アイツがペットで、私がご主人様です」

「聞こえてる」






私は度胸がある女です、だって自給自足できるからね!

恐れるものなしとみつけたり!という豪語してたのが先週で


今は価値がつけられる程度にまで落ちました



「さぁーみなさん!滅多に捕まえられない人魚です!」

「あー…どうもー…」

「ご覧ください!この友好さ!きっと従順な奴隷ですよ!」

「友好具合みえないです」



ここはシャボンティ諸島と言われてる島らしく

私は、たまたまここらへんで散歩してたら捕まった


最初は優しかったのに、あのお兄さんたち

ご飯だってくれたから人生初のナンパに浮かれてました



思い出して来たら、なんか腹立ってきた


「あのー…ちょっといいですか」

「おおっと、どうしたんだい?」

「三食付きで、かわいい子がいる家がいいです」

「こんな簡単な条件で従順な人魚が手に入るチャンスは二度とこなガハッ」

「一度もこねぇよ、帰るぞ雑魚」

「…やだ」



私の駄々は通用しなかった、この曲がった男には

そして、浴槽にたまった水に浸かりながら彼の説教は今尚継続中であるのです



「だいたい、なんで声かけなかったんだよ」

「いや、逆になんで声かけると思ったの」

「普通かけるだろ!?一言でも書き置きでも!」

「ねぇよ、そこまで重い女になりたかないわ…あ、スタンプならいいかな」

「いや、スタンプのがわかんねぇよ」



この世界にスマホはなく、あのころ使ってたスタンプでメッセージも送れない

カタツムリあるけど…なんだか、使う気が起きないんですよね



ああ、楽しめなかったなぁ…奴隷ってよくわかんないけど

前世にもあったが、私の国にはなかったしイメージも漫画やアニメでしか湧かない




「ありがと、サボくん」

「は…お、おう」

「なんでどもってるの」

「いきなりだったからな、つい」

「そっか、心配かけたみたいだね…ごめん」

「…今度は俺がついていくから、声かけろ」



仕事あったから放置しただけだったんだけど、予想以上のことがあったので

次からは、せめて書置きだけでもしておこうかな




「でも、行きたかったなぁお金持ちの家…あ」





つい、漏れてしまった本音にサボくんの説教は悪化した





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